2018年10月29日 13:12 弁護士ドットコム
10月31日のハロウィン前の週末となった27日夜から28日未明にかけて、東京・渋谷の繁華街は、仮装した若者たちがあつまって、ひどい混雑になった。報道によると、痴漢などの疑いで5人の逮捕者が出た。一方、ネット上では、痴漢の被害者に対して「自己責任だ」といった声もあがっている。
【関連記事:「フリーおっぱい」女子高生YouTuber、ハチ公前で胸触らせて検挙…法的問題を検証】
インターネット上で痴漢被害の報告があがっている。モデルの朝比パメラさんは28日未明、ツイッター上で「渋谷スクランブル交差点でぶつかってきた人に胸触られた」「人たくさんいるのにこんな堂々と痴漢されるもんなの?」とつぶやいた。
ハロウィンのお祭り騒ぎは、ここ数年急速に広がって、風物詩になりつつあるが、渋谷の繁華街に、仮装した若者たちが殺到して、トラブルが相次いでいる。2016年のハロウィンにも、渋谷のスクランブル交差点で女性に触ったとして、30代の男性が逮捕される事件が起きていた。
そもそも、痴漢行為は、各都道府県の迷惑防止条例で禁止されている。東京都の迷惑防止条例の条文は次のようになっている。
「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。
一 公共の場所または公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上からまたは直接に人の身体に触れること」(5条1項1号)
スクランブル交差点やセンター街など、渋谷の繁華街は「公共の場所」といえる。したがって、正当な理由なく、衣服のうえや直接に胸やお尻に触って、相手を著しく羞恥させていた場合、都迷惑防止条例違反にあたるのだ。
また、具体的な状況にもよるが、着衣の上からであっても、女性の胸や尻をなで回すように触っていた場合には、刑法の強制わいせつ罪(迷惑防止条例違反より重い罪)にあたる可能性もある。
一部ネット上では、露出度の高い仮装(コスプレ)の女性も少なくないことから、「こんだけ言われてて、渋谷行って痴漢されたり暴行されたらそれこそ自己責任じゃないの?」といった声もある。しかし、女性がどんな格好をしようとも、混乱に乗じて、胸や尻を触る痴漢は「アカン」のだ。
(弁護士ドットコムニュース)