2018年のF1第19戦メキシコGPは、ほかのグランプリとはちょっと異なって、日曜日のレースでどのような戦略を採るのかによって戦い方が別れるという興味深い予選が展開された。
まず、地力に勝るトップ3チームは、スタートが決まる予選Q2でウルトラソフトタイヤを選択した。これはピレリによれば、シミュレーション上、最速のピットストップ戦略が、ウルトラソフト(9周)+スーパーソフトタイヤ(31周)+スーパーソフトタイヤ(31周)となっているからだ。
2台そろってQ3に進出したルノーとザウバーはハイパーソフトがスタートタイヤとなる。この場合の最速戦略はハイパーソフト(5周)+スーパーソフト(33周)+スーパーソフト(33周)となる。
つまり、最速のピットストップ戦略を実行しようとするなら、スタートタイヤにかかわらず、スーパーソフトを2セットは残しておかなければならなかった。
だが、トップ3チームでその条件を満たしているのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)ただひとり。トップ3以外ではフォース・インディアとトロロッソ・ホンダ、そしてマクラーレンの3チームが条件を満たしている。
フォース・インディアは、Q2の1回目はスーパーソフトでアタックし、2回目はウルトラソフトでアタックするというユニークな作戦を採った。これは何が何でもハイパーソフトでスタートしたくないが、少しでも上位からスタートしたかったと思われる。
またQ2の1回目をユーズドのハイパーソフトを使用したフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)とブレンドン・ハートレー(トロロッソ・ホンダ)は、レースで新品のスーパーソフトを2セット、新品のウルトラソフト1セットを残すことを優先して、金曜日の1回目のフリー走行からハイパーソフトを多用していた。
スーパーソフトが1セットしか残っていないその他のチームはどうか。ピレリによれば、上記の2つの戦略の次に考えられるピットストップ戦略は、ウルトラソフト(15~18周)+スーパーソフト(53~56周)という1ストップ作戦だ。
つまり、日曜日のレースではレッドブル、メルセデス、フェラーリの上位勢6台と、ハイパーソフトでスタートするルノー&ザウバーの4台と、11番手以下からスタートするそれ以外の3つのグルーブがそれぞれ異なる戦略でレースを戦う可能性が考えられる。
果たして、どの戦略が功を奏するのか。それは71周後にしか、わからない。