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ホンダ陣営、スーパーフォーミュラ5年ぶりのチャンピオン。山本MS部長「チームがひとつになって、いい仕事をしてくれた」

2018年10月28日 20:21  AUTOSPORT web

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優勝して逆転チャンピオンを獲得した山本尚貴を労うホンダ山本MS部長
最終戦を迎えるまではランキング3位だった山本尚貴(TEAM MUGEN)が予選でポールポジションを獲得して1ポイントを加算し、そして決勝ではランキングトップのニック・キャシディに追い詰められながらも、見事トップチェッカーで逆転でタイトルを獲得。2013年以来の5年ぶりの2度目のチャンピオンとなったが、ホンダ陣営にとっても国内トップフォーミュラ5年ぶりの戴冠となった。ホンダのモータースポーツを率いる山本雅史モータースポーツ部部長に聞いた。

 マシンを降りてTEAM MUGENのスタッフと喜びを分かち合った山本尚貴が、その次に熱い抱擁を交わしたのは、ホンダのモータースポーツ活動を率いる山本部長だった。

「尚貴が本当によく頑張ったと思う」と、まずは山本尚貴の活躍を労う山本部長。この週末はF1メキシコGPが行われているが、スーパーフォーミュラ最終戦の鈴鹿に足を運んでいた。

「昨日の朝は路面が濡れていたり、この週末、いろいろなコンディションになる中で、もちろん、それは全ドライバーがイコールの状況だけど、その中で尚貴はいいセットアップを見つけて、予選でポールポジションを獲ったことがまず素晴らしい。そして、今日のレースもTEAM MUGENのチームがひとつになっていましたよね。チームがひとつになって、本当にいいレースをしてくれた」

 国内トップフォーミュラ、スーパーフォーミュラで2度目のチャンピオンとなった山本尚貴、前回タイトルを獲得したのが2013年で、ホンダ陣営としても5年ぶりのスーパーフォーミュラでのタイトル獲得となった。

「ホンダ勢としても、スーパーフォーミュラでタイトルを獲得できたのが2013年以来となるので、5年ぶり。その時も尚貴だったので、この5年、ホンダ勢では他に誰もタイトルを獲れていなかった。尚貴は今年、3勝を挙げてタイトルを獲得しているので、年間を通してうまくレースをまとめてくれた」と山本部長。

「今年は(栃木)研究所もHRDさくらのR&Dも、エンジンの信頼性を含めていろいろな部分でパフォーマンスを見直してくれたし、そしてやっぱりチームが年間を通してひとつになっているし、今日のピットストップ作業も早くて本当にいい仕事をしてくれた。M-TEC、TEAM MUGENには本当に感謝です」と、ドライバーとチーム、そしてエンジンの総合力での勝利を強調した。

 その一方、今季はF1へのステップアップを期待して、福住仁嶺(TEAM MUGEN)、松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の2名の次世代ドライバーをルーキーとしてスーパーフォーミュラに参戦させたが、2人とも不本意なシーズンとなってしまった。

「海外から帰ってきた若手たちは、いろいろな意味でセットアップもアグレッシブに攻めすぎてしまった」と山本部長。

「特に今回の尚貴の隣にいた福住は週末をとおしてずっと尚貴についていけていなくて、自分で『ちょっとハマッちゃいました』と話していて、そこでプッシュしすぎてしまった。福住はポイントもこの最終戦で関係のない立場だけど、まだまだ若いので、この1戦に向けて、いろいろなことを考えてトライ&エラーをやってくれたので、また来年、期待しています」と、2019年以降の活躍に含みを持たせた。

「来年は若手がどんどん伸びてきているのもあるので、尚貴とともに面白いレースをしたいなと思います」と山本部長が話すように、2019年も山本尚貴をはじめとしたベテラン勢と伸び盛りの若手たちの戦いが楽しみなホンダ陣営。

 F1でのレッドブル、トロロッソへのエンジン/パワーユニット供給で、F1へのステップアップを狙うホンダ陣営内の戦いはますます厳しい状況になっていく。来年はレッドブルからガスリーに続く育成ドライバーのスーパーフォーミュラシーズン参戦も現実的になりつつあるようで、勢いを増すホンダ陣営にまた、新たな楽しみが増えることになりそうだ。