トップへ

『ここさけ』コンビ復活も 『ドロ刑』最大のキーは中島健人と遠藤憲一の対比にあり?

2018年10月28日 13:52  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 勝手田(丸山智己)の因縁の相手だった“黒蛇”逮捕に大きく貢献したことですっかり気に入られた斑目(中島健人)は、勝手田の後継者として指名されて、毎日こき使われることに。「第13係」にますます嫌気を感じるようになった斑目は、憂さ晴らしとして煙鴉(遠藤憲一)からゲームセンターのサービス券をもらう。そこで彼は、影を帯びた1人の青年・順平(寛一郎)と出会うのだ。


 10月27日に放送された日本テレビ系列土曜ドラマ『ドロ刑 -警視庁捜査三課‐』第3話。第1話では空き巣を、第2話では忍び込みと、それぞれのプロフェッショナルとの対決を描いた本作だが、そこから打って変わって今回は犯罪グループの重要なポジションにいながらも息苦しさを感じる青年と、斑目との友情の物語が描き出された。今回取り上げられる犯罪は、金庫破りによる金塊強奪。もしかすると捜査三課が扱う窃盗犯罪の中で、もっとも劇的な、ドラマ向きの題材といえるのではないだろうか。


 順平から仕事を手伝ってほしいと持ちかけられた斑目。最初にゲームセンターで会った瞬間に、あえて違う名前・神北勉として自己紹介をするのは「刑事の勘」が働いたということだろうか。その勘が当たり、彼の会社というのがまさにオレオレ詐欺などを行う犯罪グループ。仕事へのモチベーションが著しく下がっていた斑目に、煙鴉が仕組んだということだ。こうして斑目は「潜入捜査官」として金庫破りの現場に立ち会うことになる。


 いざ金庫破りを行うシーンで、“神北勉”の存在を疑う犯罪グループのメンバーからのカマかけに見事に引っかかってしまった斑目は、順平とともに金庫の中に閉じ込められてしまう。これよりも前に、バーのシーンで皇子山(中村倫也)と煙鴉が対峙した際、煙鴉の(おそらく偽の)プロフィールを調べ上げた皇子山からの鋭い追及を見事にかわしていくというやりとりがあった。


 これもまた、このドラマの最大のキーである斑目と煙鴉の対比ということだろう。至極単純なカマにまんまと引っかかって適当なことを答えてしまう斑目に対し、煙鴉には言葉巧みに身ぐるみを剥がそうとするプロ技のカマかけさえも通用しない。ここまで2人の性質が対比的に描かれるあたり、飲み友達以上の繋がりがあっても不思議ではないし、第1話の段階から明示されていない煙鴉が斑目に協力する理由を深く考えずにはいられなくなる。


 ところで、今回のエピソードで順平を演じた寛一郎といえば、佐藤浩市の息子で三國連太郎の孫にあたるという俳優一家の血筋の持ち主。昨年夏に公開された『心が叫びたがってるんだ。』で中島とがっつり共演をしている。同作では、控えめな中島のキャラクターと夢を断たれて周りに当たり散らす貫一郎のキャラクターは衝突しあっていたが、本作では共通の趣味について笑顔で語らいながら、時折互いに寂しい視線を向け合う間柄に。今エピソードのラストで順平は軽微な罪で保釈されたと明かされるだけに、彼が再登場を果たしてくれることにもちょっぴり期待したいところだ。(久保田和馬)