10月28日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦が開催されている鈴鹿サーキットで、2019年からスーパーフォーミュラに導入されるニューマシン、SF19を佐藤琢磨と中嶋一貴のふたりがドライブし、ファンの前でデモランを行った。
2019年からスーパーフォーミュラに導入されるSF19は、『クイック&ライト』のコンセプトの下、オーバーテイクの向上等を目指し導入されるダラーラ製のニューマシン。ドライバー頭部保護デバイス『ハロ』を装着し、見た目も大きく変化する。
そんなSF19は、これまで国内のコースでテストが行われてきたが、来季からの導入に向け、今季最終戦の舞台でファンの前でデモランが行われた。ドライブしたのは、ホンダエンジン搭載車がインディ500ウイナーの琢磨、そしてトヨタエンジン搭載車がル・マン24時間ウイナーの一貴と、世界三大レースを制した日本人ドライバーのふたりという豪華なふたりだ。
スーパーフォーミュラ第7戦の決勝日朝のフリー走行終了後、ピットから姿を現した2台のSF19がメインストレートに用意され、フリー走行を終えたばかりの一貴、そして琢磨がSF19とともに登場した。
ふたりは軽く打ち合わせを行った後、コクピットに乗り込みまずは一貴が発進するが、琢磨は一度エンジンをかけたものの、「まだ電気的にキャリブレーションできていないのか、1速に入れたけどギヤが入らなくて。スタッフの方に来てもらったんだけどうまくいかず、一度電源を落としたら直りました。走れて良かったです(笑)」とストールを喫してしまう。
一貴は琢磨が来るまでゆっくりと西コースをまわり、スプーンで2台が合流。まずは琢磨が先行して2周をこなし、一貴が1コーナーで前に出るとさらに1周。最後は並んでチェッカーを受け、SF19の迫力をファンの前にみせつけた。
■佐藤琢磨のSF19評は「すごく新鮮!」
一貴はすでにテストでの経験があるが、琢磨はこれが初めてのSF19体験だ。「すごく新鮮! 僕はSF14を岡山で一度テストしていますけど、その軽い動きは踏襲しながら、ダウンフォースがすごく上がっている。今の1~2周ではそこまで引き出せていないですけど、感触はすごくいいですね。コーナーは安定しているし、130Rもほぼ全開でいけます。すごいな……と感じました」とファーストインプレッションを語った。
「インディカーはパワステはないので、その慣れはちょっと必要ですね。ステアリングが軽くていいですが(笑)。ダウンフォースがついたら、パワステ無しでは走れないでしょうし」
ちなみにインディカーで戦う琢磨にとっては、『ハロ』装着のフォーミュラカーは初めての体験。「コクピット全体が包まれている感じはありましたが、ハロ自体は違和感はなかったです。シートフィッティングしたときはすごく見えましたけど、ヘルメットのバイザーを閉めると目に入ってこない。コクピットの前のアタッチメントは気になるかもしれませんが、走ると視点が奥に行くので、違和感はないですね」とやはり琢磨もハロは気にならないと語った。
「安全という面では、今後フォーミュラはハロが主流になると思うので、スーパーフォーミュラで導入されるのはすごくいいと思いますね」
この日も多くのファンが囲み、その存在感を示した琢磨。「スーパーフォーミュラも昨日の予選から観ていましたが、(山本)尚貴も気合が入っているし、他のチャンピオン候補もトップ5に入っていますからね。レースもこの後観戦しますし、ファンの皆さんも多く来られているので、チャンピオン争いを見届けていきます」と琢磨はSF19とひさびさのスーパーフォーミュラを楽しんでいる様子だった。