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キャバ嬢へのお小遣い、経費でひねり出すダメリーマン…どんなリスクがある?

2018年10月28日 10:02  弁護士ドットコム

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夫がキャバクラ嬢にお小遣いを渡すため、領収書を不正に取得して、経費申請していたーー。妻からのこんな相談が税理士ドットコムに寄せられています。


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妻によると、夫は「愛人(キャバ嬢)への小遣い目的で、キャバクラの領収書を買取して経費で落として」いたそうです。「7~8万円/1枚の日付なしの領収書が20枚ほど」出てきたため夫を問い詰めると、「適当に日付をずらして社員の親睦名目で経費申請してきた」と白状したそうです。


会社にはまだバレていないそうですが、このような領収書の不正申請にはどのような問題があるのでしょうか。松本崇宏税理士に聞きました。


●刑事事件への発展や、懲戒解雇のリスクも

領収書の不正申請にはどのような問題があるのか。


「領収書を不当に購入してきて、虚偽の内容で経費精算を行い金銭を得た場合には、会社から騙し取ったことになりますので、刑法上の詐欺罪(刑法第246条)に問われる可能性があります。


もちろん発覚したとしても、即座に起訴されて、刑事裁判になるわけではないと思いますが、常習性が認められ金額も大きく悪質であると会社が判断すれば、訴えられることもあるでしょうし、民法上の損害賠償請求を受けることも考えられます。


また、会社の就業規則等の記載内容にもよりますが、最悪の場合には会社から懲戒解雇を受けたうえ、本来貰えるはずであった退職金も支給されないことになる可能性もあります」


●会社に税務調査が入った場合、大きなトラブルに発展する可能性

会社に税務調査が入った場合、どんな問題が起きる可能性があるのか。


「会社に税務調査が入った際に、キャバクラの領収書が複数出てきた場合、その事業関連性に疑問を持たれる可能性は高いと思います。社員との親睦が名目であっても、社内の誰と行ったのか確認が行われ、関係者に話を聞いていくと辻褄が合わなくなるでしょう。


経費申請者を問い詰めた結果、愛人への小遣いと判明した場合は、個人に対する給与や貸付金と認定される可能性があります。給与認定された場合には、その分に対して源泉所得税が徴収されますし、罰金を支払う可能性も出てきます。


また、貸付金と認定された場合には会社の修正申告が必要となります。いずれのケースでも、社内の不正問題だけでなく税金の問題も生じますので、会社としても厳しい対応を取らざるを得ないでしょう。


税務調査により従業員の不正が発覚するケースはよくあります。従業員に不正があり、会社が被害を被った上に、管理監督責任を問われ会社が重加算税の処分を受けるケースも実際にあります。


重加算税は、不足税額の35%もの高額な罰金となりますので、会社にとっては二重に痛い出来事になります。このような場合、不正行為をした従業員は、税務調査により会社が支払った税金と罰金についても、会社から損害賠償請求を受ける可能性もありますので、不正に受け取った経費の金額を返還しても足りないということにもなりかねません。不正な経費精算は絶対にやるべきではありません。


近年、コンプライアンス(法令遵守)に対する取り組みが活発になってきていますので、会社としても横領や不正に対しては厳しい対応を取るケースが増えております。ほんの出来心のつもりが、本人も予想しない大問題になる可能性がありますので、軽はずみな行動は慎んだ方が良いですね」


【取材協力税理士】


松本 崇宏(まつもと・たかひろ)税理士


「デリヘルはなぜ儲かるのか」(小学館文庫)の出版を機に日本で唯一、風俗業種に特化した税理士事務所。全国の風俗業の税務申告、相談の対応をしている。キャストさん向けの確定申告サービスは、専任女性スタッフが親身に対応。新刊「風俗オーナー限定 最強の『節税』」(幻冬舎)が平成29年6月に発売。平成30年10月1日より、国内4店舗目となる大阪事務所がオープン。


事務所名   : 税理士法人松本


事務所URL: http://無申告.jp/


(弁護士ドットコムニュース)