10月27日に行われたWRC世界ラリー選手権第12戦ラリー・スペイン。3台のトヨタ・ヤリスWRCを投入しているTOYOTA GAZOO Racing WRT勢は、トップのオット・タナクがアクシデントに見舞われ後退。前日総合5番手のヤリ-マティ・ラトバラが総合トップに立って競技3日目を終えた。
デイ3となる競技3日目は、サロウの北東部を中心にターマックステージのSS8~SS14まで7SS、計121.80kmのSSが行われた。前日から降り続いた強い雨により路面は全体的にウエットコンディションとなり、最初のSS8はキャンセルとなる。
TOYOTA GAZOO Racing WRT勢は午前中のステージで路面にマッチしたフルウエットタイヤを選択。SS9ではそれが奏功し、総合トップのタナクは2番手との差を32.9秒に広げ、ラトバラもステージ2番手で総合4番手に浮上した。
しかし、続くSS10でタナクはパンクを喫し、左フロントタイヤ交換により総合9番手に後退。その後、滑りやすい路面に苦労しながらも攻めの走りで総合8番手にポジションをアップ。しかし、優勝はかなり厳しい状況となってしまった。
ラトバラはSS10でステージトップを獲得。続くSS11では総合トップに浮上する。午後のステージでもラトバラは首位の座を堅持。今シーズン初優勝に向けて好位置で競技3日目を終えた。若手のエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)はSS10でステージ2位を、SS11と12ではステージ3位となるタイムを記録し、前日よりも3つポジションをアップ。46.5秒差の7番手につけている。
チーム代表を務めるトミ・マキネンは、「今日はいろいろなことが起こり、とても複雑な気分だった」と振り返る。
「オット(・タナク)は今日も非常に速く万事順調だったが、午前中にパンクをしてしまい本当に残念だ。彼のドライバーズタイトル争いにとって、大きなマイナスとなってしまったのは明らかだよ」
「一方、昨日のパンクによる遅れを挽回してトップに立った、ヤリ-マティ(・ラトバラ)にとっては素晴らしい1日となった。すぐ後ろには非常に強力なライバル達が迫っているが、ヤリ-マティはクルマに大きな自信を持っているし、いかなる気象条件でも素晴らしい走りをしているので、最後までリードを守ってくれると信じている」とラトバラの今季初優勝を期待する。
■ラトバラ「決して諦めるべきではない」
総合トップで最終日に挑むラトバラは、「昨日の遅れにも関わらず、ラリーをリードする立場となり素晴らしい気分だ。決して諦めるべきではないと改めて思ったよ」
「降雨と路面に流れ込んだ大量の泥により、今日はとても難しいコンディションだった。しかし、クルマの調子はとても良く、タイヤ選択に関しても正解だったと思う」
「最後の2本のSSは少し慎重になり過ぎてタイムを失ったが、それでも僕たちは依然ラリーをリードしている。明日はきっと激しい戦いになると思うよ。僕のすぐ後ろには5年連続王者と、9年連続王者が迫っているけど、リラックスして自分の走りを続ける事が勝負の鍵を握る事になるだろうね」とチャンピオンドライバーたちからポジションを死守することを誓う。
大量リードを失い厳しい一日となったタナク。
「本当にタフな1日だった。走り始めは良かったけど、パンクでかなり多くのタイムを失ってしまった。そして午後は路面が泥で覆われており出走順は最悪だった。また、自分自身もロングステージのSS13でスピンをするなどミスをしてしまったけど、それでもベストを尽くしたつもりだよ」
「もし明日も今日と同じような天気ならば、きっとチャレンジングな1日になるだろう。ドライバーズタイトル争いにおいては自分達ができる事は少なくなってしまったが、マニュファクチャラーズタイトル争いに関しては良い方向に進んでいるので、ベストを尽くして貢献したいね」と気持ちを切り替える。
ポジションアップを果たし総合7番手で競技3日目を終えたラッピは、「とても満足できる1日だった。午前中はタイヤ戦略がうまくいき、午後も悪いチョイスではなかったよ。タイム差が大きいため、前の選手を捕える事は難しいけど、明日は最後まで楽しんで走りたいね」とコメントしている。
最終日となる10月28日の協議4日目は、サービスパークの西側で4本のSSが予定される。競技3日目と同じくすべてターマックステージとなり、SS18“サンタ・マリーナ2”はパワーステージに指定されている。全4SSの合計距離は61.70km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は245.15kmとなる。