映画『バハールの涙』が2019年1月下旬から東京・新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国で公開される。
同作は、故郷のクルド人自治区がISの襲撃を受けて男性が皆殺しにされ、息子を人質に取られた弁護士のバハールが、息子を取り戻すために女性武装部隊「太陽の女たち」のリーダーとなり、最前線でISと戦う姿を描いた作品。小さな娘と離れ、戦地で取材を続ける隻眼の戦場記者マチルドの目を通して、内戦を生き抜くバハールの姿が映し出される。英題は『Girls of the Sun』。今年の『カンヌ国際映画祭』コンペティション部門に出品された。
息子の救出のために、銃を取って立ち上がるクルド人女性のバハール役を演じるのは、『パターソン』で主人公の恋人役を演じたイラン出身のゴルシフテ・ファラハニ。マチルド役をエマニュエル・ベルコが演じる。監督は、自身で内戦が続くクルド人自治区を訪れて、女性戦闘員たちを取材したエヴァ・ウッソン。
同作は2014年にISの攻撃部隊が、イラク北部のシンジャル山岳地帯に侵攻した出来事に着想を得ている。この侵攻で住民のヤズディ教徒が奇襲攻撃を受け、逃げ遅れた男性は殺され、女性は捕われた。今年『ノーベル平和賞』を受賞したナディア・ムラドはシンジャル出身のヤズディ教徒で、自らも性暴力の被害者としてその実態を世界に訴える活動を行なっている。