10月26日、WTCR世界ツーリングカーカップの日本ラウンドが開幕したが、午前9時10分からのフリープラクティス1で、WTCR全車が協力して復帰レースとなったティアゴ・モンテイロ(ブーツェン・ジニオン・レーシング/ホンダ・シビック・タイプR・TCR)の復帰を祝った。
元F1ドライバーのモンテイロは、WTCC世界ツーリングカー選手権ではホンダのエースとして活躍してきた。しかし、17年9月にバルセロナで行われたテストで激しいクラッシュを喫し、その後はシーズンを負傷欠場。シリーズがWTCR世界ツーリングカーカップに変更され、モンテイロはシビックを使うブーツェン・ジニオン・レーシングのドライバーとして起用されていたものの、動体視力が戻らずなかなかレースに復帰することができずにいた。
そんなモンテイロは、ホンダの地元レースである鈴鹿サーキットでの日本ラウンドで、レース復帰を決断。26日のフリープラクティス1は、ひさびさのレースウイークの最初のセッションとなっていたが、WTCRの全チーム、ドライバーが協力して、モンテイロに嬉しいサプライズを用意した。
本来であれば、フリープラクティス開始に合わせてマシンがピットレーンに並び、そのままグリーンシグナルとともにコースインしていくところだが、WTCRマシンたちはピットレーンに2列の隊列を作り、真ん中に1車分のスペースを空け、その中央をモンテイロに通す粋な計らいを行ったのだ。
モンテイロは「みんなが拍手してくれている。涙が出そうだよ! だから僕はWTCRを愛しているんだ。みんな本当にありがとう。WTCR、ホンダ、みんなに感謝している」と無線で伝えながら、その隊列の中央を通過。ライバルたちは拍手を送り、さらにモンテイロのシビックを叩き、その復帰を祝福した。
本来であれば1秒たりとも無駄にしたくないフリープラクティスだが、ライバルたちはモンテイロを見送った後、コクピットに戻り一斉にコースイン。モンテイロは半周ほど、朝日が注ぐ鈴鹿サーキットをゆっくりと周回。そのままフリープラクティスに入っていった。
「復帰できて本当に幸せだよ。WTCRファミリーのみんなからの歓迎は、信じられないくらいだった。本当に素晴らしい気持ちだ。WTCC時代、ホンダ・シビックでデビューした鈴鹿で復帰できたのは特別なことだよ」と初日を終えたモンテイロは語った。
「今回、目標は定めていなかったけれど、フリープラクティス1で2秒遅れだったところが、最後は予選Q2で0.2秒遅れまで詰めることができたのは満足しているよ。レースでは何ができるか分からないけれど、できる限り頑張るよ!」