食の好みは人それぞれ。ある人にとっての当たり前が、別の人には突飛なものに見えることもある。
はてな匿名ダイアリーに10月23日、「妻が木綿豆腐で麻婆豆腐を作る人だった」と投稿した人もその一人だ。妻が作った麻婆豆腐を初めて食べ、木綿豆腐を使っていることに驚いたという。
「豆腐がなんか硬いと思ったら木綿豆腐だった。70点満点のものだと割り切って食べはするけど、こういうのってどうやっても分かり合えない部分だと思う」
「伴侶が作ってくれただけでシェフのものより価値高い。感謝を忘れるべきではない」
ブックマークは500件以上つき、コメントも数多く寄せられた。投稿者はこれまで絹ごし豆腐の麻婆豆腐に親しんでいたようだが、コメントを見ると、圧倒的に木綿豆腐派が多い。
「麻婆豆腐だと煮崩れしないように木綿じゃないの。絹だと粉々になるよね 」
「絹の麻婆豆腐もアリなんだ?新しい発見」
また、「70点満点だと思って割り切って食べる」という投稿者の上から目線な一文に反感を持つ人も多いようだ。
「伴侶が作ってくれたものというだけで凡百のシェフのものより価値は高いのだから感謝を忘れるべきではない」
「自分で作れ」「愚痴に見せかけた惚気かよ」
とたしなめる声もある。
料理の味付けや材料は、生まれた地域や家庭によって違うもの。「麻婆豆腐に木綿豆腐を使う」という新しい発見を喜ぶべき、という人もいた。
「おめでとう。増田は自分の世界が広がる結婚をした。そのまま、嫁さんを通じて、今までの当たり前を突き崩してくれ」
木綿が一般的だが、絹を使うのが間違いというわけでもない
絹ごし豆腐は味が入りやすく舌触りは良いが、木綿豆腐と比べ表面が柔らかい。強火を通す麻婆豆腐では、木綿豆腐を使うほうが一般的と言えるだろう。
ただ、どちらの豆腐を使うのが正しいと言えるかは微妙なところだ。日本に麻婆豆腐を紹介した陳建民さんのレシピとしてNHKが1981年に放送したものでは、木綿豆腐を使っていた。一方、同氏の息子で「四川飯店」でグループオーナーシェフを務める陳健一さんは、ゼクシイキッチンで、絹ごし豆腐を使ったレシピを紹介している。
クックパッドニュースの記事でも、木綿・絹どちらを使うべきかは明示されていない。木綿を使うときは味を染みやすくするため、切り分けた後に湯通しするよう勧めていた。
結婚生活ではさまざまな違いに直面し、驚くこともあるだろう。「自分の好みがすべてだ」と言わんばかりの態度より、パートナーへの感謝の気持ちを持ち、互いの好みを受け入れ合う方が、余計な軋轢をきたさず、平穏な夫婦関係を築けるように思うのだが。