WRC世界ラリー選手権第12戦スペインは10月26日、SS2~7が行われ、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合首位に浮上した。
グラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)が入り混じるミックスイベントのラリー・スペイン。競技2日目となる26日(金)はグラベルステージが4SS、ミックスステージが2SSの計6SSで争われた。
前日夕方に行われたSS1を総合3番手で終えたタナクはSS2でステージ優勝、SS3でステージ2位を獲得して総合首位に浮上する。その後も好調を維持したタナクはこの日行われた6SSのうち、SS5以外の全ステージでトップ3に入る力走をみせ、総合2番手のダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)に対し26.8秒もの大差をつけた。
逆転チャンピオン獲得に向けて好スタートを切ったタナクだが、「まだなにかを成し遂げた訳ではない」と冷静なコメントを残している。
「今日はトリッキーな1日だった。特に午後の走行序盤はマシンのフィーリングが良かったけど、そのあとは苦戦するようになっていった」
「どうしてマシンの感触が変化していったのかわからない。コース上に留まろうと必死だったし、それ以外にできることはなかったよ」
タナクが大量リードを築いた一方、シリーズチャンピオンの座を争っているティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)とセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)のふたりは思うようにペースを上げられず。
特にポイントリーダーとして先頭走者を務めたヌービルは滑りやすいグラベル路面に苦戦したほか、途中、コーナーでオーバーシュートするミスなども重なり首位から59.7秒差の総合9番手で走行を終えている。
一方のオジエもSS2を終えた段階では総合首位をキープしていたが、その後はじわじわと後退。トップと39.4秒差の総合7番手につけた。
トヨタ勢のうち、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)はSS3を終えた時点でタナクと6.1秒差の総合2番手につけると、今大会最長の38.85kmで争われたSS4も快走。ステージ途中の計測地点では周囲より10秒以上速いタイムを刻んでみせる。
しかし、ラトバラはこのSS4で左リヤタイヤがバーストするアクシデントがあり、タイヤ交換で50秒近くタイムをロスして、一時は総合10番手まで後退。残る3ステージで粘りの走りをみせて、総合5番手までポジションを挽回している。トヨタの残る1台、エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合10番手につけた。
そのほかセバスチャン・ローブ(シトロエンC3 WRC)が総合4番手を確保したほか、ケン・ブロック(フォード・フィエスタWRC)が総合25番手で競技2日目を走りきっている。
下位クラスのWRC2はエリック・カミリ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)がクラス首位。ペター・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)がクラス3番手、勝田貴元(フォード・フィエスタR5)はクラス16番手だ。
競技3日目となる27日(土)はSS8~14までの7SSで争われる。この日のステージはすべてターマックで構成されるため、メカニックは限られた時間でマシンの仕様を変更する必要があるほか、ドライバーも路面に合わせた走り方にアジャストする必要がある。