ベネッセ教育総合研究所は10月26日、読書と学力に関する調査の結果を発表した。読書量が多い子どもは偏差値が上がり、逆に読書を全くしない子どもは偏差値が下がることがわかった。
調査ではまず2016年8月に小学5年生4万2696人を対象に学力テストを実施。1年4か月後の2017年12月に再度学力テストを実施した。
読書を全くしない子どもは偏差値が約1ポイント低下
1年4か月に渡る調査の期間中、同社が提供する電子書籍サービス「まなびライブラリー」でどの程度本を読んだかで子どもを分類。10冊以上は「多い」、1~2冊は「少ない」、1冊も読んでいない場合は「ない」とした。
読書量が「多い」子どもたちは1年4か月で4教科(国語・算数・理科・社会)の偏差値平均が、49.3から51.2まで1.9ポイント上昇していることがわかった。「ない」グループの子どもは、50.2から49.5まで0.7ポイント低下している。
科目ごとに見ると、読書量が「多い」子どもは、国語で0.6ポイント、算数で3.5ポイント、理科で0.7ポイント、社会で1.1ポイントといずれの科目でも偏差値が上がっている。
一方、「ない」のグループでは、国語でマイナス0.3ポイント、算数でマイナス1.3ポイント、理科マイナス0.1ポイント、社会マイナス0.3ポイントといずれの科目でも偏差値が下がっている。
また科目ごとのデータからは、読書の影響が最も大きいのは算数だということがわかる。1年4か月で「多い」子どもと「ない」子どもの偏差値は4.8ポイントも差が開いている。
学力下位グループほど読書の影響が大きい
2016年8月の学力テストの結果に基づいて、子どもたちを学力上位グループと下位グループに分けた。学力上位ブループで読書量が「多い」子どもは偏差値が1.3上昇しているのに対して、下位グループで「多い」子どもは3.9ポイントも上昇していることがわかった。
一方、上位グループで読書をしない子どもは偏差値を0.2しか下げなかったのに、下位グループで読書をしない子どもは0.8下落している。学力下位グループの方が、読書量の影響を大きく受けることがわかった。
電子書籍を利用している子どもに良かったと思うことを聞くと、「授業で取り上げられた本を読んだ」が71.3%で最も多かった。2番目は「わからないことがあったら自分で調べるようになった」の66.9%、3番目は「自分で書く文章が上手になった」の60.7%だった。