カブスに所属するダルビッシュ有選手は10月25日、自身のツイッターで、ジャーナリストの安田純平さんを責める自己責任論に意見を述べた。
安田さんは約3年に渡りシリアで拘束され、同日日本に帰国した。拘束についてネットでは、「政府に止められているのに危険な地域に行ったのだから自己責任」などの声が多く上がっていた。ダルビッシュ投手はこれらに、
「一人の命が助かったのだから、自分は本当に良かったなぁと思います。 自己責任なんて身の回りに溢れているわけで、あなたが文句をいう時もそれは無力さからくる自己責任でしょう。皆、無力さと常に対峙しながら生きるわけで。人類助け合って生きればいいと思います」
と苦言を呈した。
「対策できたら世界のジャーナリスト何人も拘束されない」
ツイートは26日11時時点で、2.7万件以上の「お気に入り」、8000件を超えるリツイートがされ、大きな反響を呼んでいる。300件以上ついているコメントの中には、「全面的に同意する」「同感」など賛同するツイートも多いが、「旅行に行って巻き込まれたならそうかもしれないけど……」「対策出来たでしょって話」といったコメントも同程度ある。
ダルビッシュ投手はこうした意見ひとつひとつに、
「逆に旅行じゃなくあの場所に命張っていける人間が世界にどれぐらいいるでしょうか」
「対策できてたら世界のジャーナリスト何人も拘束されないと思いますよ。 現地のガイドとか通訳が売ったりするらしいですし」
と返信。「自己責任ではない」という主張を曲げなかった。
安田さんの解放を巡っては、カタールがテロ組織に身代金3億円を支払ったという報道も出ている。ツイッターではこうした報道を知った人から、ダルビッシュ投手の意見に
「救出によりテロリストに渡ったお金で多くの武器がテロリストの手に渡り、多くの方の命が危険に晒される可能性があるのにですか?」
といった反論も寄せられた。しかしダルビッシュ投手は、
「まずこの記事(編注:身代金支払いに関する記事)が本当かも現時点でわからないですし、本当だったとしても一人の人間が助かったわけでそれに安堵するのって変でしょうか? 後悔とか反省って自分でするもので、他人が強要するものではないと思うんですよね」
と返していた。
「捕まる時点でジャーナリスト失格」戦場カメラマンの言葉とされたものは嘘
安田さんの拘束をどう考えるかは、著名人の間でも意見は割れている。モデルでタレントのJOYさんは24日、ツイッターで「この人に批判が集まるのは過去の発言や態度からすると仕方ない」とツイート。タレントのフィフィさんも同日、過去の安田さんのツイートから「アラブの紛争地帯に使命感や敬意を持って取材してると思えない」と複雑な心境を語っていた。
ネットでは、戦場カメラマンの渡部陽一さんが語った「戦場取材の掟」の中に「捕まるやつはその時点でジャーナリスト失格」という言葉があったという噂を元に、安田さんを責める人も多く出ていた。しかし、渡部陽一さんの事務所は24日、ハフポスト日本版の取材に対し、掟や言葉は事実に基づかないものと否定している。