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佐々木蔵之介と黒木瞳が手に入れた“青い恋” 『黄昏流星群』大胆キスシーンで青春学園ドラマに?

2018年10月26日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 それぞれの恋愛に進展がみられ、危ない橋を渡り始めた瀧沢家。悩みを抱えつつ、人生のスパイスになるような幸福も同時に訪れたアラフィフ世代はどう振る舞うか。『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系)の第3話では、キャリア組から離れる決心のついた瀧沢完治(佐々木蔵之介)と、それを支える目黒栞(黒木瞳)の存在を丁寧に描いた。


 完治の心情の変化、そして環境の変化が目まぐるしい同ドラマであるが、佐々木はその表情のひとつひとつを丁寧に演じ分ける。家庭内にいる時の完治の落ち着いた姿と、栞と話している時の完治の姿はまるで違った印象を受けた。人が恋にウキウキしている様子が手に取るようにわかり、メッセージのやりとりに一喜一憂する姿はまるで学生の恋愛のよう。完治が仕事に行き詰まり、心にぽっかりと隙間ができた時、そこに入り込んだのは妻の瀧沢真璃子(中山美穂)ではなく栞であった。


【写真】栞といるときの完治と家にいるときの完治


 栞も、母の介護で辟易している中、完治との恋を心の拠り所にする。第3話のラストシーンには、大胆にも栞からのハグとキスシーンがあり、ティーン向けの青春学園ドラマを観ているかのようだった。そんな青い恋すら純粋な気持ちで楽しんでしまう2人は、ちょうどお互いを支え合い拠り所にすることに適した存在同士だったのだろう。そんな繊細な気持ちを佐々木は、笑顔や困り顔、果ては真璃子に詰められている時のバツの悪そうな顔まで、多彩な表情で魅せた。時には身振り手振りを加え、過剰にも見える芝居も、恋や仕事に夢中になる1人の男性として魅力的に見えた。


 佐々木の芝居は“伝わる”芝居である。台詞を聞かせること以上に、視覚で伝える情報が多いのだ。そういった芝居は多くの人に作品の内容をよりわかりやすくしてくれる。同ドラマも、言葉にはなっていない心情描写がキーになる作品だからこそ、佐々木の芝居が引き立つのだと感じた。


 その“伝える”芝居をサポートする中山と黒木もまた、身体表現に秀でた役者である。遠くから走ってきて、抱きつくという動作をあれだけ美しい所作でやってのける50代の女優は並ではない。中山は、完治のネクタイを捨ててまたクローゼットに戻すシーンでは、声にならないが色々な想いが溢れているという様子を動きと表情で見事に表現していた。


 瀧沢という家庭があまり多くを語り干渉し合わない家庭である故に、誰がどんな気持ちで物語が進んでいくのかは役者の身体表現に委ねられる。その中で表情や仕草を見て、核心に近づいていくのだ。言葉で表されない分、直に心に響くシーンも多く、それが魅力の作品なっているように感じる。


 佐々木、中山、黒木のベテラン勢の中に、第3話からはいよいよ藤井流星が本格的に恋路に絡む様子を見せる。次回以降、若手も加わりどんな化学反応が起きるのか注目だ。


(Nana Numoto)