トップへ

生後7週の女児、泥酔居眠りした母親の下敷きになり窒息死(英)

2018年10月25日 18:22  Techinsight Japan

Techinsight Japan

生後7週の娘を窒息死させた母(画像は『BBC News 2018年10月22日付「Chloe Atkinson Wilkie death: Drunk mother slept on baby girl」(LYNDA ROUGHLEY)』のスクリーンショット)
生後わずか7週の乳児を抱きながら飲酒し、居眠りしたことが原因で窒息死させてしまった母親の裁判がこのほど英リバプール刑事法院で行われた。自分の愚かな行為により我が子を失ったことを深く後悔している母親に対し、判事は実刑を免除、12か月間の執行猶予付き有罪判決を言い渡した。『BBC News』『Mirror』『The Sun』などが伝えている。

悲劇は2016年11月19日(報道により17日とも)に起こった。英マージーサイドのセント・へレンズに住む3児の母ステイシー・アトキンソン(30歳)は前の晩に飲酒し、生後7週だった末娘クロエちゃんを抱きながらソファの上で居眠りをしてしまった。

3時間ほどして目覚めたステイシーは、意識不明に陥っているクロエちゃんを見て半狂乱になった。午前6時23分に通報を受けた救急隊員が到着するまでの間、ステイシーは死に物狂いでCPR(心肺蘇生法)を行い、クロエちゃんを助けようとした。そして自分がしてしまったことの恐怖に慄き、2階で眠っていたクロエちゃんの父親を叫んで起こした。しかし午前7時15分、クロエちゃんは死亡が確認された。

ステイシーのパートナーは、この時のステイシーの状態を「ショックで錯乱状態になっていた」と話している。その後、ステイシーは前の晩にウォッカを5杯ほど飲んだことを供述し、警察がステイシーの血液検査を行ったところ、酒気帯び運転の基準値のおよそ2.5倍のアルコール数値が検出された。また検死の結果、クロエちゃんの普段の健康状態は良好で、母親の居眠り中に腕から滑り落ちたことで母親の下敷きになり、ソファのクッションに顔を押しつぶされての窒息死であったことが明らかになった。検死にあたった病理学者は「ソファでの乳児との添い寝は突然死のリスクを増大させ危険である」と話している。

10月19日にリバプール刑事法院で行われた裁判で、クロエちゃんの死亡時の詳細が読み上げられると、ステイシーは体を震わせ号泣した。ステイシーの弁護人は「被告は、母親を信頼していた我が子を失望させ死なせてしまった。これから一生涯、被告はその罪を背負って生きていくことになるだろう」と述べると同時に、ステイシーがうつ病や不安障害、人格障害、強迫性障害などの精神的疾患を抱えていたことを明かし、「特に強迫性障害だった被告は、普段から授乳時には慎重になっていた。被告は自分がしてしまったことを深く反省している。この辛い経験から被告が学んだことは明らかだ」と擁護した。

ステイシーは過去に飲酒問題を抱えていたが、妊娠中や出産後は問題がなく、クロエちゃんが生まれてからはパートナーとの外出時のみ飲酒していたと供述した。普段はクロエちゃんとは一緒に寝ていなかったが、事件当日はフルタイムで働いていたパートナーに代わって自分が世話をしており、クロエちゃんがなかなか落ち着いてくれなかったためソファで一緒にいたとも話したという。

今回裁判所では、アンドリュー・メナリー判事からこのように判決が言い渡された。

「飲酒の結果、このような事態を引き起こしたという事実は、被告に対し子供の世話をする能力に欠けるかもしくは皆無であるかという疑いを生じさせることになり、事態を悪化させる深刻な要因となる。しかし当局の調査では、被告とそのパートナーは子供たちを可愛がり、責任を持って育てていることが明らかになった。被告には親として子育てができる能力が十分にあったといってよいだろう。この悲劇は、世話がかかる小さな子供に被告が激しく疲労していたという一因があることも否めない。社会は被告に懲役刑を科すことを望んでいるが、被告は添い寝のリスクを承知していながらも、それをしてしまった事実に慄き、犯した罪に十分苦しんでいるといえる。よって、被告を12か月の執行猶予つき12か月の有罪判決に処する。」

加えて、ステイシーには1年間の面接やカウンセリング(スーパービジョン)と20日間のリハビリが命じられた。クロエちゃんの死後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されていたステイシーだが、この事件以降新たな子供を出産しており、現在は10歳と13歳の子供を含む3児の母になっている。

このニュースを知った人からは、「こんな悲劇になって、母親は自分を一生許さないだろうね」「今回の判決は情状酌量が大きいな」「実刑にすべきだと思う。こんな母親、子育てするのは向いていない」「あくまでも事故なんだから実刑にならなくてよかったのでは。他に子供もいることだし」「だからこそここで厳しく判決を出さないと、こういう母親が増えるしけじめがつかないだろう」「殺す意図なんてなかったんだから、やっぱり悲劇の事故でしょう。実刑にはならなかったけれど、子供を死なせたことできっと終身刑を下されたのと同じ気持ちだと思うよ」といった声があがっている。

画像は『BBC News 2018年10月22日付「Chloe Atkinson Wilkie death: Drunk mother slept on baby girl」(LYNDA ROUGHLEY)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)