MotoGP日本GPで、Moto3クラスにワイルドカードとして参戦したふたりの日本人ライダー、岡崎静夏(Kohara Racing Team)と福嶋佑斗(Team Plus One)。世界選手権への挑戦を終えたふたりのワイルドカードライダーが、日本GPを振り返った。
■岡崎静夏:2度目の日本GPでつかんだセッティングと乗り方
岡崎にとって、2度目のMotoGP日本GP。Moto3には参戦可能な年齢制限があり、今回は岡崎にとって、その年齢制限をクリアできる最後のMoto3ワイルドカード参戦となった。
岡崎は初日セッションを前に、2016年のワイルドカード参戦のときよりも「自分がどこまでできるのか、冷静に考えている」と語っていた。迎えた決勝レースでは23位フィニッシュ。「成功したレースとは言えない」と岡崎はレースを振り返る。
「目標のポイントを取るというところからだいぶ遠く、単独走行になってしまい、目標としていたタイムも出せませんでした。ただ、これから改善していかなければいけないところは、走りながらもわかりました」
単独走行になってからは「どれだけミスなく走るか、と思っていた」と言う岡崎だが、「けっこうミスをしたり、コース上ぎりぎりで戻ってきた周もありました。ミスなく走りたいと言っている以上、これだけミスがあったので、成功したレースとは言えません」と、その声色は硬い。
とは言え、世界選手権を戦うライダーとともに走り、つかんだものは確かにある。フル参戦する全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでは、得たものを糧にしていきたいと語る。
「歯が立たなかったのは悔しいです。ただ、それを全日本でどう活かせるか。前回のワイルドカード参戦では、ライディングについて得るものがありました。今回は、GPライダーのペースで走ろうと思ったら、どういうセッティングをして、どういう乗り方をしなければいけないのか、前回よりも具体的にわかった気がします」
「今回、本当に楽しかったのは残り2周で周回遅れにならずチェッカーを受けるとわかったときと、チェッカーを受けたあとだけです。それまでは失敗したくないという気持ちもあり、でもタイムは出したいという焦りもありました」
悔しさはある。それでも2度目の世界選手権参戦に、岡崎は「参戦できてよかった」と締めくくった。
■福嶋佑斗:初めて経験する世界選手権に「悔しさが大きい」
Moto3クラスに初のワイルドカード参戦を果たした福嶋。2018年は、参戦2年目となる全日本ロードレース選手権J-GP3で活躍する若手ライダーだ。
福嶋はレースウイークを「タイム的には初日が一番速かったです。2日目、3日目でペースを上げられなかったのは自分のだめなところですね」と振り返る。
予選では序盤に転倒を喫し、その後再スタートしたもののタイムを上げることができなかった。獲得したグリッドは最後尾の30番グリッド。決勝レースでも、思うような走りはできなかった。福嶋は最終的に、24位でレースを終えている。
「スタートはうまくきまったのですが、そのあとのヘアピンでオーバーランしてしまいました。そこからは単独走行で、あまりペースを上げられず、前に追い付けなくてひとりでずっと走ることになってしまいました」
世界選手権を戦うフル参戦ライダーの印象を聞くと、「自分が強いところはまったくありませんでした。向こうの方が何枚も上手でしたね」という答えが返ってきた。
「全体的に、(Moto3ライダーは)人を抜くのがうまいと思いました。ブレーキングポイントをどんどん奥にしていったり、自分の走りを追求していくのが、レギュラーライダーは上でした」
そんなMoto3ライダーのなかでも、福嶋が注目していたのがホルヘ・マルティン(Redox PruestelGP)とファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Del Conca Gresini Moto3)だった。
「マルティンは走りがすごく好きなんです。バトルも強いし、トップに立ったとき後ろをちぎれる強さがあります。そこはすごいと思います。今回、一度だけマルティンの後ろについて(走りを見た)。体の使い方から、全部が違いました」
今回のMoto3ワイルドカード参戦について「悔しさもあしますし、自分としては情けないという感じです。もうちょっとできたかな、と思います」と無念さをにじませた福嶋。
一方、今回の参戦で得たものがあることは間違いない。「いろいろ見ることができたものはあります。それを糧に、どう変えていくかは自分次第です」と、今後の成長を胸に刻んでいた。