10月21日に開催された全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)の予選会『プリンセス駅伝』で、岩谷産業の飯田怜選手がゴール直前で走れなくなり、膝を血だらけにしながら這ってタスキを繋ぐシーンが物議を醸している。
飯田選手は走行中に転倒。岩谷産業の広瀬永和監督は大会運営に棄権を申し入れたが、コース上の役員にすぐには伝わらず、伝わった時には、残り15メートルで飯田選手が動いていたため、止めずに見守ったようだ。
10月22日の『バラいろダンディ』(MX系)では、このニュースに武井壮さんが持論を展開した。(文:石川祐介)
「審判が『そのまま行かせてあげたい』っていう気持ちがあったっていう心情はわかる」
この件について感想を求められた武井さんは「チームの監督が棄権の指示を出してる。監督は選手の健康だったり、その後の競技のことを考えて、一つのレースよりも重要なものがあるから正しい判断をしたと思う」と監督の対応に賛同する。
続けて、「伝達が遅れて、残り15メートル。目の前にラインがあるところで審判が『そのまま行かせてあげたい』っていう気持ちがあったっていう心情はわかる」と飯田選手を止めなかった役員に同情する武井さん。
また、「懸命にタスキをつなぐ姿に感動した」といった賞賛の声が多く寄せられたことには、
「美談かと言えば美談ではないと思います。疲労骨折とかでコンディションを作ってこられなかったわけだし、本当だったらそのままゴールまで行けたのが一番美しいこと。これを『いい話』って言うのは良くない」
と違和感を口にした。
「明確なルールを決めるべきだが難しい」
今後の課題として武井さんは
「こういう事が起きた時に個別の案件で、柔らかく見てあげる目も必要。でも、選手達の健康とかを考えると、1つ明確なルールを決めるべきだと思う」
と臨機応変に柔軟に対応できるようにしつつも、「こういう場合には必ず棄権させる」と明確なルールを整備する必要があると話す。ただ、
「もし、後ろを走る先輩の中に、今日引退の選手がいたらって思いがあって、『10年走ってきた最後を私が』っていう思いがあると僕も止めづらい。だから、1つの答えは言いづらい」
「例えば、これが数百メートル手前だったら、あそこまでになったけど、10メートル手前だったら(多くの人の意見は)『行かせて』だと思う。(骨折したら棄権になると)ルールで決めてたら、1メートル手前でもそこで骨折したら終わりだし」
と許容と規制の範囲をどのように設けるかは難しいと語った。