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会社社長のお得アイテム「4年落ちの中古ベンツ」、なんで節税につながるの?

2018年10月23日 08:42  弁護士ドットコム

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会社の社長が乗る車といえば「ベンツ」というイメージがある人も多いでしょう。当然、ステータスの高さを周囲に示すものなのですが、ベンツなどの高級外車は、税金の観点からもメリットがあることを知っていますか。「自分には縁がない」と思われる方もいそうですが、その仕組み自体は知っておいても損はないものです。


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●耐用年数のカラクリ

まず、なぜ車を購入することが、節税につながるのでしょうか。その車を会社の経費とすることができるからです。車の場合、数年間にわたって、減価償却することになります。普通自動車の耐用年数は6年と決められているので、毎年6分の1の金額を経費として計上することができます。これによって、利益を圧縮することで、節税につながるのです。


一方で、中古車の減価償却はどうなっているのでしょうか。その耐用年数がポイントになります。


一般的に、中古資産の耐用年数を計算する場合に用いられるのが以下の式です。


(法定耐用年数 ー 経過年数)+(経過年数 ✕ 20%)=中古資産の耐用年数 


普通自動車の法定耐用年数は6年ですから、3年落ち(3年経過)、4年落ち(4年経過)、5年落ち(5年経過)の中古車それぞれを上記の式に当てはめると、以下の結果となります。(1年未満の端数が出た場合は切り捨て、最短の耐用年数は2年)


A中古車(3年経過→耐用年数3年)


B中古車(4年経過→耐用年数2年)


C中古車(5年以上経過→耐用年数2年)


ここで、BとCに注目してみましょう。BはCよりも経過年数が少ないにもかかわらず、耐用年数は同じです。


詳しい説明は省略しますが、制度上は、耐用年数2年は1年目で全額を費用とすることができます。つまり、4年が経過していれば、1年目で減価償却することが可能なのです。急に利益が出た年に利益を圧縮するために利用することができます。


●なんでベンツなのか

ではなぜ、中古車の中でもベンツということになるのでしょうか。


実はベンツに限ったことではないのですが、高級車であれば、快適で安全な装備が施され、耐久性が高くなるのが一般的です。中古の高級車の中でもベンツに人気が集まるのは、その性能の高さもさることながら、比較的丈夫で長持ちな性質を持ち、市場価値もそれだけ高いからです。


もし4年落ちのベンツを1000万円で買ったとしましょう。減価償却が完了すれば、帳簿上の資産としてのベンツは消滅します。


しかし、中古ベンツには市場での価値(おそらく数百万円)がまだ十分にあります。税法上では計上されない帳簿外の資産として保有し、いざという時に売却することが可能なのです。


もし、身の回りに会社の社長がいれば、どんな車に乗っているのか、どんなサイクルで買い換えているのかに注目してみると興味深いでしょう。



【監修】


石井彰男(いしい・あきお)税理士


コンサルティング業界出身のMBAホルダーの税理士大家さん。15年間の大家さん経験と独自の節税手法、いかにキャッシュフローを増やすかというノウハウで多くの大家さんたちをサポートしている。実際、「これまでで一番実践的でわかりやすい」、「こんな税理士さんにお会いできて良かった」と、多くの大家さんから好評を得る。「大家さんで幸せに起業する」「大家さんで経済的自由を達成する」をキャッチコピーに、成功する大家さんを輩出している。


事務所名  : 会計事務所ロイズ会計


事務所URL:http://royce-acc.com/


(弁護士ドットコムニュース)