資生堂は10月22日、ファンデーションに対する意識調査の結果を発表した。調査は今年6月にネット上で実施し、女性5000人から回答を得た。
ファンデーションは肌に悪い気がするか否かを聞くと、「そう思う」「ややそう思う」「どちらかというとそう思う」の合計が70.6%となった。
パウダーもリキッドも、ファンデーションを塗布した種がちゃんと発芽
ファンデーションが肌に悪いと思う理由や使いたくない理由を聞くと、最も多かったのが「毛穴が詰まりそうだから」で66.2%。以降「肌呼吸(水分蒸散)しづらくなりそうだから」(52.7%)、「吹き出物が出やすくなりそうだから」(25.8%)、「乾燥の原因になりやすそうだから」(23.7%)、「何が入っているか分からないから」(16.7%)と続く。
この結果に対して、同社は実証実験を行った。ファンデーションは本当に毛穴を埋めるのかを調べるため、ファンデーション無塗布の肌と塗布した肌で、1時間後の皮脂の分泌を観察。すると塗布しても、毛穴から皮脂が出てくることが確認された。
本当に肌呼吸を止めているのかについては、ベビーリーフの種に「パウダーファンデション」「リキッドファンデーション」「透明ラッカー(空気を遮断する)」を塗布したものと、無塗布のもの計4種を用意。暗室で水を与え、3日後の発芽状態を観察した。ラッカーを塗布したもの以外は全て発芽し、ファンデーションは空気を通していることを実証した。
また「ゴム手袋をしてビニール袋で密閉した手」と「ファンデーションを塗布してからビニール袋で密閉した手」をビニール袋で密閉し、水蒸気の発生状態を観察した。15分後、ゴム手袋で密閉していた方の袋は透明だが、ファンデーションを塗布した手の方は蒸発した水分で曇っていた。
「むしろ、塗ることによって肌トラブルの原因から肌を守ることができます」
ファンデーションは肌に悪いという「都市伝説」はなぜ広がったのか。資生堂客員研究員の石田かおり・駒沢女子大学教授は、かつて白粉に鉛が入っていたことを指摘する。1887年、歌舞伎役者・中村福助の足の震えが白粉による鉛中毒であることが判明した。
その後、無鉛白粉の開発が進み、1904年には商品化されたが、石田教授は「こうしたことが、現代におけるファンデーションのネガティブイメージに根強く影響しているのかもしれません」とコメントしている。
同社はファンデーションについて、「むしろ、塗ることによって紫外線や空気中のチリ・ほこり、乾燥などの肌トラブルの原因となる様々な外的環境から肌を守ることができます」として、「人工のバリア」であると考えている。