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イモトアヤコのシリアスな演技が話題に 『下町ロケット』で見せた“女優”としての新たな顔

2018年10月22日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 阿部寛主演の日曜劇場『下町ロケット』(TBS系)が第2話に入り、主人公・佃航平(阿部寛)が社長を務める佃製作所が早くも大きなピンチに直面している。第1話では、佃に流れる技術者としての情熱が描かれ、ロケットエンジンと並行してバルブのノウハウを活かし、トラクターのトランスミッションへの挑戦を製作所は決意する。トランスミッションを手がけるベンチャー企業・ギアゴーストへのコンペが通り、軌道に乗ったかと思われたが、ギアゴーストが大手トランスミッションメーカー・ケーマシナリーから特許侵害で訴えられてしまう。


 第2話でフィーチャーされるのは、ギアゴーストの副社長兼技術者・島津裕(イモトアヤコ)。佃製作所がロケット事業においてバルブシステムを提供している帝国重工の元社員で、伊丹大(尾上菊之助)とともにギアゴーストを立ち上げた。佃は帝国重工に務める娘・利菜(土屋太鳳)から島津が天才エンジニアで、優秀すぎたが故に、居場所がなくなったことを聞く。自動車のトランスミッション部門にいた島津は、新しいアイデアを次々と提案するが、これまで築いてきたプライドがある帝国重工の上層部がそれを認めず、彼女は社内で存在感のない“幽霊”のような扱いをされてしまう。異動先で出会った、同じく斬新な企画を出していた伊丹とともに、立ち上げたのが“ギアゴースト”だったというわけだ。


 佃たちは特許侵害を利用して、ギアゴーストとケーマシナリーをクロスライセンス契約に持ち込み、タダ同然でギアゴーストを傘下につけられることを弁護士から提案される。ギアゴーストを傘下につければ、佃製作所は一気にトランスミッションメーカーとなる。ビジネス戦略と言えば聞こえはいいかもしれないが、それでは人の技術や夢を盗み、勝ち得た栄光となってしまう。ギアゴーストにとってのトランスミッションは、佃たちのロケットエンジンそのもの。技術者としての情熱が、佃たちと共鳴しあったのだ。


 島津は第1話のボウリング場での佃との出会いや、コンペのシーンから存在感を示していたが、第2話では佃に自身のモノづくりの原点を話すシーンがある。ユーザーの立場に立ってモノを作ること。立場や流儀は関係なく、いいものはいいと思える純粋な気持ち。島津を演じるイモトアヤコと言えば、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)を代表としたバラエティ番組のイメージが強く、2014年に放送された初主演ドラマ『最高のおもてなし』(日本テレビ系)もコメディ路線の作品だった。しかし、今回の島津は一般的な“イモトアヤコ”を脱却するようなシリアスなシーンが多く、天才エンジニアとして冷静で、柔和な表情を見せている。演出の福澤克雄とは『99年の愛~JAPANESE AMERICANS~』(TBS系)以来、8年ぶりのタッグ。ストーリー上、ギアゴーストの面々は暫く出演が続きそうなことからも、イモトの女優としての顔が世間に注目されるきっかけになりそうな気がする。


 第2話のラストでは、ケーマシナリーの弁護士で佃から“ヘビ野郎”と呼ばれる中川京一(池畑慎之介)が、内通者と思われる人物と会食する一幕が。ロケット契約、内部情報の流出……佃たちはさらなるピンチに立ち向かっていく。(文=渡辺彰浩)