10月21日現地時間午後1時10分、F1第18戦アメリカGP決勝が行なわれフェラーリのキミ・ライコネンが優勝を飾った。
日曜は朝から晴天に恵まれ、気温は21度、路面温度は29度というコンディションで爽やかな気候の下でのスタート。
予選2番手のセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は金曜赤旗時の減速不足で3グリッド降格ペナルティを科され5番グリッド。トロロッソ・ホンダ勢はパワーユニットの使用数規定超過で最後尾スタートが義務づけられ、予選後にギヤボックスを交換したフェルスタッペン(レッドブル)も5グリッド降格を科されて18番グリッドからのスタートとなった。
予選Q3に進んだ上位勢ではメルセデスAMG勢とベッテル、ダニエル・リカルド(レッドブル)がスーパーソフトタイヤでそれ以外がウルトラソフトタイヤ、11番手以下はマーカス・エリクソン(ザウバー)とフェルスタッペンがソフトタイヤを履いた他はスーパーソフトを選んだ。
スタートで好加速を見せたライコネンがルイス・ハミルトン(メルセデス)の牽制をものともせずターン1手前でインから前に出て首位に立つ。後方ではS字区間でフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)とランス・ストロール(ウイリアムズ)が接触してスピンし、さらにターン12でもシャルル・ルクレール(ザウバー)がロマン・グロージャン(ハース)に接触されてスピン。4台ともダメージを負ってピットインし、グロージャンとアロンソはダメージがひどくリタイアとなった。
そしてバックストレートからベッテルとリカルドがサイドバイサイドのバトルを繰り広げるが、ターン13でインを突いたベッテルはリカルドと接触してスピン、最後尾まで後退してしまう。
首位ライコネン、2番手ハミルトン、3番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)、4番手リカルドの上位勢で、5番手・6番手にはルノー勢、7番手・8番手にはフォース・インディア勢がつけ、フェルスタッペンとベッテルはすぐに中団勢をオーバーテイクしてトップ6へと近付いていく。トロロッソ・ホンダ勢はブレンドン・ハートレー12番手、ピエール・ガスリー14番手まで浮上するが前のウイリアムズに引っかかりなかなか抜くことができない。
9周目、リカルドがターン11出口でストップ。リタイアを余儀なくされ悔しさを滲ませる。ここでバーチャルセーフティカー(VSC)となり、まずは中団勢でセルゲイ・シロトキン(ウイリアムズ)、ストフェル・バンドーン(マクラーレン)、ガスリーがピットイン。ソフトタイヤに交換し最後まで走り切る戦略に出る。
上位勢ではハミルトンだけがピットインしソフトタイヤに交換しボッタスの後方3番手で戻る。メルセデスAMGはボッタスにハミルトンを抑えないよう指示し、14周目のターン1でハミルトンが先行し2番手へ。
7秒前の首位ライコネンをファステスト連発で追いかける。ボッタスの後方は4秒離れて4番手フェルスタッペン、そこから9秒後方に5番手ベッテル。中団勢は変わらずルノー勢、フォース・インディア勢、ケビン・マグヌッセン(ハース)から6秒離れて11番手ハートレー、エリクソン、シロトキン、ガスリーの順。サインツには1周目の1コーナーでコース外に出てゲインしたとして5秒加算ペナルティが科される。
18周目には首位ライコネンに2番手はミルトンが追い付き、テール・トゥ・ノーズのバトルに。21周目、いよいよバトルが激しさを増したところでライコネンはピットインし、ハミルトンが首位に。
ピットインを予定していたボッタスはステイアウトしてさらに走り続ける。フェルスタッペンは22周目にピットインしスーパーソフトに履き替える。ボッタスは翌23周目にピットインするがフェルスタッペンにアンダーカットを許してしまう。ベッテルはリヤタイヤのグリップが厳しくなってしまうがそのまま走り続け、26周目にようやくピットインして5番手でコースに戻る。
ハートレーは26周目にピットインしてガスリーの後方15番手へ。その後にピットインしたシロトキン、エリクソンはハートレーの後ろに回る。トロロッソは35周目にタイヤがフレッシュなハートレーを先行させ、ガスリーは36周目にピットインしてウルトラソフトに交換する。
リヤタイヤのブリスター(オーバーヒートでタイヤ表面に気泡ができてグリップダウンする現象)に苦しむハミルトンは37周目にピットインを敢行。これで首位ライコネン、2番手フェルスタッペン、3番手ボッタス、トップから11秒遅れてハミルトン、5番手ベッテルはハミルトンの4秒後方となる。
ハミルトンは40周目のターン12でボッタスの前に出てファステスト連発の走りで前の2台を追う。残り10周の段階でトップ3台はそれぞれ1秒差の接戦になるが、ハミルトンはソフトタイヤのフィーリングに不満を抱えており3者のペースにはそれほど大きな差は無い。
その12秒後方では4番手ボッタスと5番手ベッテルの差が縮まりテールトゥノーズの争いに。ハミルトンが3位ならベッテルは5位でもタイトルは決まらないが、ハミルトンが2位に浮上すれば5位のままではタイトル獲得を阻止できないため、こちらの争いも激しさを増す。
54周目、ハミルトンはセクター2の低速区間でフェルスタッペンに並びかけ、ターン15の立ち上がりでフェルスタッペンの前に立つ。しかしフェルスタッペンは譲らずターン17でインをキープし続け、ハミルトンはランオフエリアへ飛び出してしまう。
これでトップ3台の順位は変わらず。逆にベッテルは55周目のバックストレートでDRSを使ってボッタスに並びかけ、ボッタスがターン12でオーバーシュートしたため4番手に浮上。
結局最後までライコネンが首位を譲ることなく56周を走り切り、2013年オーストラリアGP以来となる優勝を飾った。2位はフェルスタッペン、ハミルトンは3位、ベッテルは4位に終わりアメリカGPでのハミルトンのタイトル決定はならなかった。
5位ボッタス、6位ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノ)、7位カルロス・サインツJr.(ルノー)、8位エステバン・オコン(フォース・インディア)、9位マグヌッセン、10位セルジオ・ペレス(フォース・インディア)というトップ10で、ハートレーは入賞はならなかったが最後までエリクソンを抑え切って11位でフィニッシュ。2ストップ作戦のガスリーは14位に終わった。