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トロロッソ・ホンダF1密着:ハートレーのPU交換は「残り4戦を最適な状態で戦うため」と田辺TD

2018年10月21日 16:11  AUTOSPORT web

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2018年F1第18戦アメリカGP ブレンドン・ハートレー
「(ブレンドン・)ハートレーのほうは土曜日のフリー走行3回目からPUを投入する予定です」と第18戦アメリカGPの金曜日に田辺豊治F1テクニカルディレクターが語っていたように、前日のピエール・ガスリーに続いて、この日はチームメイトのハートレーがパワーユニットを交換した。


 またハートレーはギヤボックスも交換。レギュレーションでギヤボックスは6レース連続使用が義務づけられており、それ以前に交換すると5番手降格となる。

 ただし、2018年から15番手以降の降格に関しては、一律最後尾スタートとなる。だが、ハートレーのパワーユニットとギヤボックス交換はそれを考慮した末の決断ではない。

「ハートレーのPU交換とギヤボックスの交換は直接の関係はありません。もちろん、チームと話し合って、それぞれの状況はわかった上で決定していますが、決定自体はそれぞれ(ホンダとトロロッソ)が、アメリカGPも含めて残り4戦を最大限の戦闘力で戦うにはどうすればいいかを、それぞれが考えて下した決断です」(田辺TD)

 ハートレーの交換には、もうひとつわかりにくい部分がある。それはなぜガスリーと同じ金曜日からではなく、土曜日からなのかだ。当初は金曜日のフリー走行1回目でハートレーではなく、サードドライバーのショーン・ゲラエルが乗ることが関係していたのかと思われたが、田辺TDは「それは関係ありません」と答え、「残り4戦を最適な状態で戦うためです」と続けた。


 そもそも、なぜハートレーはパワーユニットを交換したのか。というのも、「鈴鹿での深刻なダメージはガスリーだけ」と田辺TDは金曜日に語っていたからだ。

「ロシアGPでスペック3を入れた当初は、ロシアGPを含めて、残り6戦をスペック3とスペック2の2つのエンジンをうまく使い分けながら、乗り切るつもりでした。しかし、鈴鹿で出たオシレーション(共振)によって、エンジンに想定外のダメージが出ていたため、チームと協議したうえで、グリッドペナルティを受けても交換したほうがいいという結論に達しました」

 現在のF1はパワーユニットの交換も戦略の一つ。田辺TDの説明が歯切れが悪かったのも、それが関係していたのだろう。いずれにしても、2台そろってパワーユニットの交換を済ませたトロロッソ・ホンダは、予選を終えた段階での暫定グリッドは2台とも最後列となっている。あとはレースを戦うだけ。

「新しいスペックを投入したわけだから、ドライバーには思う存分、戦ってもらいたい」と語った田辺TD。そこには、母国グランプリだった前戦日本GPでできなかった思いが込められていたように感じた。