2018年10月21日 10:12 弁護士ドットコム
出かけ先で便利なコインパーキングですが、なかなか空いていなくて探し回った経験がある人も多いのではないでしょうか。弁護士ドットコムには、誤って「月極駐車場」に停めてしまい、トラブルになったという相談が複数寄せられています。
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ある男性は、コインパーキングと同じ敷地内にあった月極駐車場に誤って停めてしまいました。10時間ほど駐車してパーキングに戻ったところ、車に「10万円の罰金」との張り紙があったため、管理会社に連絡。示談金として5万円を支払って欲しいと言われましたが、「高すぎる」と返事を保留しています。駐車場には「無断駐車罰金10万円」の看板があったそうです。
また、別の男性は、午後8時ごろから明朝まで駐車しました。しかし、そこは「定期駐車場」。朝に車を出そうとしたら「違約金として10万円+駐車料金の2倍相当額を請求します」といった張り紙がされていました。駐車したのが夜だったため、男性は「定期駐車場」と記載されたコーンを見落としていたそうです。
二人とも誤って駐車したことで、非常に高額な請求をされていますが、妥当な金額なのでしょうか。こうしたトラブルに巻き込まれた場合、どのように対応するのが良いのでしょうか。鬼沢健士弁護士に聞きました。
「看板や張り紙に書かれている罰金とは、損害賠償のことを指していると考えられます。民法420条には賠償額の予定が規定されていますので、当事者同士で合意すれば、債務不履行時に損害賠償としてその金額を請求できるのです。しかしながら、賠償額の予定はあくまでも当事者の同意が必要です」
鬼沢弁護士はそう指摘します。当事者の合意が必要ということですが、今回の二人の相談者の事例はどうでしょうか。
「これらのケースは、張り紙や看板を見ずに駐車しているので、合意に至ったとは言えず、損害賠償を予定する合意が成立していません」
では、いくら支払えばいいのでしょうか。
「損害賠償として支払い義務があるのは、実際に発生した損害分に限ります。この場合の損害は、近くの駐車場代金を参考に、実際に駐車していた時間分の駐車代金ということになるでしょう。
最近はこんな裁判例もありました。コンビニのオーナーが違法駐車した持ち主に対して、損害賠償請求する裁判を大阪地裁で起こし、車の持ち主は921万円の支払いを命じられました。この裁判では、無断駐車していた時間分の駐車代金相当を全額損害賠償として全面的に認めています。
とはいえこの裁判は、被告(車の持ち主)は出廷せず、答弁書などで全く反論をしなかったケースであることには注意が必要です」
間違って駐車してしまい支払いを要求されたら、どのように対応すればいいでしょうか。
「無断で駐車した事実を認め、謝罪し、減額を申し出るのが妥当です。そして、さきほどお話した損害額のみしか支払わない対応をするべきでしょう。
正規の駐車場代に相当する金額さえ支払えばいいということになり、無断駐車をしたものの意外と金銭的な負担は軽く済みます。
しかし、無断駐車は非常に迷惑な行為ですし、相手が多額の金銭を請求してきたり、車をロックするということもあり得ます。このようなトラブルを回避するためにも、無断駐車は止めましょう。
ちなみに私も月極駐車場を借りていますが、1度無断で駐車されたことがあり、とても腹立たしかったことがあります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
鬼沢 健士(おにざわ・たけし)弁護士
交通事故、労働、家事問題(離婚・相続)を取り扱う。
事務所名:じょうばん法律事務所
事務所URL:http://www.jobanlaw.com/