第18戦アメリカGPの初日、ホンダは新しいパワーユニットをピエール・ガスリーのマシンに搭載した。
「ロシアGPと日本GPで実際に使ってみて、今後使用し続けるうえで懸念される点があった。特にガスリーが鈴鹿で使用したスペック3は、想定していたよりもダメージが大きく、今後のレースで使えないレベルに達していた。チームと協議した結果、ペナルティを受けても、ここで改良した新しいスペックを投入したほうがいいという判断に落ち着きました」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)
今回、ガスリー車に搭載された新しいパワーユニットは、ICE(エンジン)、ターボ、MGU-H(熱エネルギー回生システム)、MGU-K(運動エネルギー回生システム)が新しくなった。
「鈴鹿で受けたダメージはICEだけで、基本的なスペック(スペック3)は同じです。ターボとMGU-H、MGU-Kも交換しましたが、これらに関しては鈴鹿で使用したものと同じスペックで、新品になったものです」(田辺TD)
なぜスペック3は鈴鹿で悲鳴をあげたのか。
「オシレーション(共振)そのものによるダメージというよりは、オシレーションが出ないようなセッティングで使った結果、ダメージを与えたという感じです。そこで懸念される部分を若干、改良したという程度。性能的にはスペック3と同じで、信頼性を向上させたものだと理解してください。ただし、信頼性を向上させるために、ハード面で新しいものが入っています」(田辺TD)
改良を施したのは、エンジンだけではない。
「エンジンを変えただけでなく、オシレーションが出ないように、根本的なデータも見直しました」(田辺TD)
その改良型スペック3で初日を走ったガスリーはこう言った。
「オシレーションはかなり改善している。スペック2と同じくらいまで解消された」
田辺TDもこう言って、土曜日以降も引き続き、使用する予定だと語った。
「新しいエンジンを根本的に改善したデータで金曜日に走ってみた結果は、予想通りの働きをしています。初日は雨でしたが、フリー走行1回目の後半は雨も止んで、全開で走ることもできたので、ある程度は確認できました」