WRC世界ラリー選手権に3台のトヨタ・ヤリスWRCを投入しているTOYOTA GAZOO Racing WRT。現在、マニュファクチャラー選手権でランキング首位に立っている同チームは10月25~28日に開催される次戦、第12戦スペインでその地位を確実なものとするため、最大ポイントの獲得を目指す。
オット・タナク、ヤリ-マティ・ラトバラ、エサペッカ・ラッピというドライバーラインアップで復帰2年目のWRCを戦うトヨタは今季、シーズン中盤の第8戦ドイツから第10戦トルコにかけてタナクが3連勝を飾るなどの活躍をみせたことで、マニュファクチャラー選手権で首位、さらにタナクがドライバーズランキング3位となっている。
そんななかで迎えるラリー・スペインは全13戦で行われる2018年シーズンの第12戦。チャンピオンシップにおいて極めて重要な意味を持つ一戦となる。
そのラリー・スペインは北東部カタルニア地方のリゾート地、サロウを中心にラリーが展開される。今イベントの最大の特徴はグラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)という両方のサーフェス(路面)を走行する“ミックスサーフェス・ラリー”であることだ。
ラリー・スペインではデイ2までをグラベル仕様、デイ3以降をターマック仕様で走る必要があるため、デイ2の走行終了後、各チームはサロウのサービスパークでマシンの仕様をガラリと変更させなければならない。このため整備時間は通常のラリーよりも長い75分となっているが、その時間は充分なものとはいえず、各チームのメカニックやエンジニアの力量が試される場となる。
また、ドライバーもラリー2日目と3日目の間にドライビングの感覚を一度リセットしなければならず、いち早くターマックの感覚に切り替えることが求められるのも今ラリーのポイントのひとつだ。
■タナク「残る2戦を両方勝たなければならないから、状況はとてもシンプルだ」
「スペインは我々にとって、必ずやよいイベントになると信じている」と語るのはチームを率いるトミ・マキネン代表。
「ヤリスWRCはすでにターマックで高い戦闘力を発揮しており、滑りやすいグラベル路面でも競争力が得られるように改善作業を続けてきた。もちろん、改善に終わりはないため、事前のテストではグラベルとターマック、両路面でのさらなる性能向上に努めてきたよ」
「このラリーでは、土曜日以降のターマック・ステージでよい出走順を得るために、金曜日の結果がとても重要になるんだ」
「これからの2戦はマニュファクチャラーと、ドライバーの両選手権において、非常にエキサイティングな展開となるだろう。もちろんオット(・タナク)は全力で戦いに臨むと思うが、それはライバルも同じだ」
そのタナクは「今年もスペインで走るのがとても楽しみだ。ドライバーズタイトル獲得の可能性がまだ残っているから、最後まで絶対に諦めないよ」と意気込みを語る。
「ある意味状況はとてもシンプルだ。これからの残る2戦で両方優勝しなければならず、その上でどうなるのかを待つだけだからね」
また、僚友のヤリ-マティ・ラトバラも、ラリー・スペインが楽しみと語り「マニュファクチャラーズタイトル獲得のためにベストな結果を残したいという気持ちが高まっている」と続けた。
「スペインは本当に面白いラリーだよ。特にターマックのステージは運転がとても楽しく感じらるんだ」
さらに、今季限りでのトヨタ離脱と2019年からのシトロエン入りを発表しているエサペッカ・ラッピも「残り2戦、チームがマニュファクチャラー選手権争いを勝ち抜くために、全力でサポートする覚悟だ」と最後までトヨタの一員として戦い抜くと宣言。
「残念ながら去年(のスペインラウンド)はミスをしてしまったけれど、今回はその経験を良い結果につなげたいと思う」
25日にスタートする競技は木曜の夜、バルセロナのモンジュイック地区でスタート。デイ1として、市街地の特設ターマックコースで全長3.2kmのSS1が行われる。競技2日目のデイ2はサロウの西側で3本のグラベルステージを各2回走行。
27日からの2日間はターマック路面での戦いとなるが、スペインのターマックステージは全体的に路面がフラットで、中~高速のリズミカルなコーナーが続くのが特徴だ。そのターマックラリーの初日となるデイ3はサロウの北東部を中心に7本のSSを走行し、最終日のデイ4はSS15~18が行われる。
なお、最終ステージのSS18は、ステージトップ5タイムを記録したドライバーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”に設定されている。競技区間である18本のSSの合計距離は331.58km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1495.73kmだ。