2018年シーズン、シリーズ唯一の日本人ドライバーとしてFIAヨーロピアンF3選手権を戦った佐藤万璃音(モトパーク)。シーズン最終戦となったホッケンハイム戦はレース2の14位がベストリザルトとなり、ドライバーズランキング16位でシーズンを終えた。
DTMドイツツーリングカー選手権との併催となったホッケンハイムラウンドは3日間の日程のうち、初日に2回の予選と2回の予選を行うスケジュール。
この週末、走り始めからマシンのフィーリングに違和感を抱えていたという万璃音はレース1の予選こそ24台中21番手と沈んだものの、レース2を予選11番手、レース3を予選13番手からスタートすることになった。
10月13日(土)に行われたレース1、万璃音はトラクション不足に悩まされながらポジションをふたつ上げて19位でチェッカーを受ける。
続くレース2は上位グリッドにいるドライバーにペナルティが出たため10番手からスタート。万璃音はマシンの車高やサスペンションを調整し、新品タイヤを投じて挽回を狙った。
この戦略が功を奏し、万璃音は一時ポイント圏内の7番手までポジションを上げたが、マシンセッティングがドライビングスタイルにマッチしておらず、徐々に後退。14位でチェッカーを受けた。
迎えた最終レース3は14日(日)の開催。万璃音は13番手から好スタートを切ったものの、オープニングラップのヘアピンで後方から追突されてスピン。最後尾へ後退してしまう。
しかし、そこから万璃音は粘りの走りでオーバーテイクを重ね、16位までポジションを上げてフィニッシュした。
2018年シーズン前半は上位に食い込む走りをみせた万璃音だったが、シーズン後半は苦戦を強いられ、ベストリザルトはザントフールトで行われた第4大会のレース3で獲得した4位。ドライバーズランキング16位でヨーロピアンF3挑戦2年目を終えた。
なお、万璃音は11月15~18日に開催される第65回マカオグランプリのFIA F3ワールドカップにモトパーク・アカデミーから参戦するほか、2019年シーズンに向けた活動も進めているという。
■万璃音「これからも競争の激しいヨーロッパを舞台に挑戦を続ける」
「練習走行1、2回目と予選1回目は、トラクションがまったく足りなくて苦労しました」と万璃音。
「予選2回目に向けてはエンジニアの判断で前の車高を上げ、後ろのスプリングを柔らかくました。しかし、クルマの感触にあまり良い変化はありませんでした
「予選2回目からクルマを少し調整しただけで臨んだ決勝レース1、トラクション不足はまったく解消されておらず目の前が真っ暗になりました。根本的にクルマのセッティングが自分のドライビング・スタイルに合っていないと感じましたが、大きく変更している時間もなかったため微調整で決勝レース2を迎えました」
「決勝レース2は入賞圏内からのスタートでしたし意を決し新品タイヤを4本投入したので、少なくとも久々にポイント獲得はできるだろうと楽観視していました。しかし、最終的に34 周レースの10 周目には早くもリアタイヤのグリップを大きく失い、前のクルマを追うことはもちろん後ろのクルマを抑えることもできませんでした」
「クルマのトラクション不足の原因はデファレンシャルにあると確信したので、決勝レース3の前にチームとエンジニアにその調整を進言しました。実際のところこれがドンピシャリで明らかなクルマの改善を感じてワクワクしました」
「しかし……。最後尾へ落ちた直後はレースを投げようとさえ思いました。でも、自分で考えたクルマのセッティングが間違っていないと証明したいという気持ちが湧き、最後まで全力でプッシュしました。結果は16位に終わったものの、チームやエンジニアに対して自分のドライビング・スタイルに合ったクルマのセッティングの方向性を示せたと思います」
「シーズン前に望んでいた結果とは程遠いものに終わったユーロF3の2シーズン目。悔しさとやるせなさが募ります。しかし、いつまでも下を向いているわけにはいきません。来季に向けてはマネジメント・チームと最善の進路を考えつつ、いまは今季最後の戦いである“マカオGP”に向けて準備しています。これからも僕は競争の激しいヨーロッパを舞台に挑戦を続けます」