第17戦日本GPを終えた時点で67点差となったF1タイトル争い。第18戦アメリカGP木曜日のFIA会見には、タイトルに王手を賭けたルイス・ハミルトン(メルセデス)が、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)、ダニエル・リカルド(レッドブル)、ロマン・グロージャン(ハース)とともに出席した。
ドライバーズチャンピオンに王手が賭かった一戦ということで、多くの質問がハミルトンに向けられたが、ハミルトンは冷静だった。
「ほかのレースウィークエンドと同じで、何も特別なことはないよ。いつもように、勝利を目指して戦うだけ。ほかのことは何も考えていない」
とはいえ、2018年タイトルを獲得すれば、5度目となり、伝説のチャンピオン、ファン・マヌエル・ファンジオと並んで歴代2位となる。「そのことを意識しますか?」と質問されてもハミルトンは冷静だった。
「もう一度、言うけど『今週末あるいは来週決まったら、最高だね』なんて言う者は、チームには誰一人としていないよ。僕たちはみんな、余計なことを考えずに、自分たちの仕事を確実にやり遂げることに集中している。だって、まだ100ポイントが獲得可能なんだよ。ここまでものすごく激しいタイトル争いをしてきたんだ。まだまだ安心することはできないよ」
ハミルトンに隙がなく、冷静な態度を崩さないと悟ったのか、記者たちの標的は隣に座り、かつてチームメイトだったアロンソに移った。
その2007年に初めてハミルトンに会ったとき、のちに5度のタイトルを取るドライバーになると予想していたかとの質問に、アロンソは次のように答えた。
「あのとき、彼が将来こうなるかなんて想像していたといったら、それは嘘になるね。ただ彼はテストの初日から才能を披露していたよ。ルーキーイヤーでタイトル争いを行い、翌年にチャンピオンになった」
「そのときでも、その後4度もタイトルを獲得できるとは思っていなかったかな。メルセデスへ移籍した年だって、あのときのメルセデスは苦戦していたから、簡単ではなかったと思うよ。彼がすごいのはマシンが最強ではないときでも勝ち続けてきたこと。2009年のような時でもレースで勝っている。そんなドライバーはほかにいない」
■チームの母国GPとなるロマン・グロージャンはコンストラクターズ4位の奪取を狙う
そのアロンソは2019年、1年間はF1でレースをしないことを発表しているが、何をするのかはまだ明らかにしていない。その質問にアロンソは次のように回答した。
「これまで何度も言ってきたように、インディ500が魅力的なことは間違いない。今年ル・マン24時間で勝利したから、トリプルクラウンを達成するには、残るはインディ500だけだからね。 来年の計画についてはもう少し待ってよ。決まったら、すぐに教えるから」
ラグビーが大好きなリカルドは、昨年のアメリカGPにオースティンを訪れた際に、地元の強豪大学のアメリカン・フットボール部に混じって、アメフトを初体験したことがあり、その件について質問された。
「あれは本当にクールな経験だったよ。 あの中から何人がカレッジフットボールの試合に出たのか知らないけど、最高の経験だったね」
しかし、F1に関していうと、ここ数戦はなかなか良い結果が残せていない。
「確かに今シーズンは2勝しただけで、それ以外は表彰台にも上がっていない。でも、それはいくつかの不運があったから。ここでその悪い流れが途切れることを願うよ。アメリカは大好きだし、このサーキットはチャレンジングだから、グランプリが始まることを楽しみにしているよ」
アメリカチームに所属するグロージャンにとっても、アメリカGPはチームの母国グランプリとしてだけでなく、コンストラクターズ選手権4位の座を賭けたルノーとの戦いに勝つためにも大切な一戦だ。
「最近の9レースで31点を挙げていますが、好調の理由はなんですか?」と質問されたグロージャンは、こう切り返した。
「僕の計算では、31点ではなく、39点だよ。モンツァで8点失ったからね」
8点差でルノーを追うハースは、イタリアGPの結果に対して控訴し、11月1日に審問が行われることになっている。