OIRC team YTB
2018全日本F3選手権
第18戦、19戦(富士スピードウェイ)レースレポート
#8 YTB F318
ドライバー:片山義章(かたやま よしあき)
生年月日:1993年11月13日
身長:168cm
体重:65kg
血液型:O型
●最終戦は開幕戦へのプロローグ
全日本F3選手権、第18-19戦は、FIA世界耐久選手権第4戦との併催で開催された。シリーズの最終戦に相応しい世界が見守るなかでの戦いは、ステップアップを狙う若者達にとって最高の見せ場ともなるレース。サーキットも世界戦仕様に模様替えされ、慣れ親しんだ富士スピードウェイがこの週末だけは、いつもと違う雰囲気に多くのファンが魅了された。
金曜日の練習走行、午前中は霧雨のなかウエットコンディション、午後の2回目の走行では雨も上がりドライコンディション。すでにチャンピオンを決めている#36坪井翔(カローラ中京Kuo TOM’S)がセットアップ走行を続けるなか、一時トップに立った#8片山義章(OIRCteamYTB)は快調に周回を重ね1分34秒322の4位で走行を終えた。
「今日はとても気持ちよく乗れました。まだ少し詰めて行ける所も分かっているので明日はやりますよ見ててください」と自信の笑顔で答えてくれた。予選トップはただ1人33秒台に入れた#36坪井、以下2位~7位までが34秒台のなかコンマ6秒差以内にひしめいた。
【予選】走りは「気」から!
心配された雨はなく、WEC練習走行直後に行われた予選は、開始早々から続々と1分34秒台に入るレースさながらの熱い展開で始まった。残り3分の段階で#8片山は1分34秒508の6位、ニュータイヤに履き替え入念にタイヤを温めながらアタックラップへと入っていく。
1分34秒163昨日のタイムを上回るも7位、ライバル達の上げ幅が大きいなか、さらにもう1周のアタック、1分33秒640なんと3位を獲得して見せた。
予選後インタビュー中にリチャードコーチから「髪型のおかげだな」と声をかけられ「散髪が良かったね」と記者から質問に「先週の鈴鹿でF1ドライバーがみんな短髪だったので、速いドライバーは髪の毛短くないといけないんだ! って思って切ったら本当に速くなりました」と歓喜に湧くピットで語った。
●譲れないバトルが明暗を分ける
第19戦 予選:3位 決勝:リタイア
自身初の2列目からのスタート。前にいるのはTOM’Sの2台だけ、レッドシグナルが消え、1コーナーへと加速する、アウト側ポールスタートの#36坪井が、#37宮田莉朋(カローラ中京Kuo TOM’S)をけ牽制しイン側へ動くと、#37宮田がアウトへと進路を変え、背後についていた#8片山はすかさずインに飛び込んだ。
2台は並んで立ち上がるも接触、#37宮田がスピンし、#8片山はフロントウィングの左側を破損させた。さらに、背後ではこの混乱を避けようと、ブレーキングをした#1金丸悠(B-MAX RACING)に#12笹原右京(ThreeBond Racing)が接触するなど波乱のスタートなった。
#8片山は走行を続けるも、#93大湯都史樹(TODA RACING)、#2阪口晴南(TODA RACING)に抜かれ、破損したフロントウィングが路面を叩くようになり、「YOSHI、 YOSHI BOX! BOX!」とエンジニア・マットからのピットイン指示の無線が入り、フロントタイヤとフロントノーズを交換し、コースへ復帰するも周回遅れとなってしまう。
#8片山のレースペースは良く、1台、また1台と前走車をパスしながら3位争いに追いついてしまうほどの速さ見せた。レースは#36坪井が優勝、2位には#2阪口、3位には#35河野駿佑(RS FINE)が歓喜の初表彰台を獲得した。
■片山義章コメント
「スタートはいつもどおりできたんですけど、TOM’Sの2台がやり合ってて、左右に動いていたので、僕はアウト側から行こうと思っていたんですけど、#37莉朋くんがアウト側に来たので、開いたインに飛び込んだんです。そのまま並んで立ち上がるイメージをしていたのですが閉めてきたのでどうすることもできなくて、僕の左前のタイヤが#37莉朋くんのサイドポッドに当たってしまいました」
「低速コーナーではダメージを感じなかったのですが、ダウンフォースのかかる高速コーナーを抜けて行くうちにウイングが落ちて路面に当たり始めて、無線でも『BOX! BOX!』とマットから指示が来たので、ノーズとフロントタイヤを交換してコースに戻ったのですが周回遅れとなってしまいました」
「クルマは速かったのでバトルをしてたくさん抜きました。最後3位争いに追いついてしまった時は、マットからペースを落とすよう指示があったので#35河野くんが3位に上がる所を特等席から見ていました。悔しい結果となりましたが、調子は良いので明日も期待してください」
●2列目からの景色
第19戦 予選:4位 決勝:リタイア
19回目のスタート、2018全日本F3選手権もいよいよファイナルバトルへと駒を進めて来た。時折小雨が散らつくなか、ウエットとなったレース。直前のスタート練習でホイルスピンをしていた#8片山にスタッフもいつも以上に緊張感を漂わせていた、そして迎えた今年最後のクラッチミートは、無情にも#8片山のマシンをホイルスピンさせ加速を鈍らせてしまう。
4位イン側からスタートしたマシンは、1コーナーでアウトから#2阪口にかわされて5位に、Aコーナーへ差し掛かったところで、#1金丸悠(B-MAX RACING)がインに飛び込んで来ると進入速度が速く外へと膨らみながら加速し、#8片山の左フロントタイヤと#1金丸の右リヤタイヤが接触、この接触で速度が落ちた所を#93大湯にも抜かれ6位に後退する。
ダメージはクルマに強いアンダーステアを引き起こし、13コーナーで単独スピン、後方にいた#1金丸がサイドポッドに激突しクラッシュリタイアとなった。レースはスタート決めた#37宮田がトップに立ち、#36坪井、#12笹原と三つ巴の戦いとなるも6週目のダンロップコーナーで#36坪井がトップに立つと、後続をグングンと引き離して行く。意地の2位争いは、#12笹原が#37宮田を捕え軍配を上げた。
■片山義章コメント
「スタートでホイルスピンしちゃって、アウトから#2晴南くんに抜かれてしまって、ひとつ順位を落としました、次にAコーナーで金丸くんがインに入って来たんですけど、アンダーが出たみたいで、膨らんで来て僕を追い出すような形になって、僕の左フロントと金丸くんの右のリヤタイヤがぶつかってしまったんです」
「僕らが絡んでる間に#93大湯くんに抜かれてもうひとつ順位を落としてしまって。車にダメージがありアンダーステアが強くて13コーナーでグラベルにはみ出して回ってしまった所に#1金丸くんが追突する形になってしまいました。衝撃を強く受けたのでメディカルチェックを受けてガレージに戻りました」
【2018・F3最終戦を終えて】
「開幕前は、Cクラス参戦2年目ということもあり、とても意気込んでいて『表彰台乗ります』と言ってスタートして、開幕戦の鈴鹿でいきなり自己最高位の4位を取れたんですけど、毎戦予選で苦しんで、得意のスタートで少し挽回しての繰り返しで、予選で一発の速さが出せないまま最終戦まで来てしまったんですけど、今週末は練習走行から予選まで流れが良くて実力で3番手、4番手の順位が取れたことは自身にとってもチームにとっても嬉しい結果となりました」
「しかし、ポジションが上がれば見える景色も相手も変わって行くなかで飲まれてしまったのかな? という悔しい思いでいっぱいです。ここまで来たので来年はこの位置以上からスタートをして表彰台の一番上を取りに行きたいと思います」
「この一年、ともに戦ってくれたチーム、最後まで応援してくれた、ファンのみなさん、スポンサーのみなさん、そして家族に感謝の気持ちを伝えたいと思います『本当にありがとうございました』」