医療・介護業界の求人サイト「コメディカルドットコム」を運営するセカンドラボは10月17日、「看護師と介護士の患者・利用者からのハラスメント実態」に関するアンケート結果を発表した。調査は今年9月に実施し、看護師118人、介護士290人の計408人から回答を得た。
「ハラスメントを受けたことがある」と回答した人は、看護師で80%、介護士で81%と非常に多い結果となった。
看護師の75%「セクハラは精神疾患・認知症に起因しない」
「セクハラを受けたことがある」は看護師で64%、介護士で63%、「暴力を受けたことがある」は看護師で59%、介護士では71%となった。
また精神疾患・認知症を持たない患者・利用者からハラスメントを受けたという人は、看護師で54%、介護士で40%となった。ハラスメントの内容別では、看護師の48%、介護士の37%がセクハラを、看護師・介護士の20%が暴力を受けた経験があると回答した。
精神疾患・認知症を持つ患者・利用者を含めた場合は、看護師の48%、介護士の37%がセクハラ被害を経験。上記の疾患を持たない人のみの場合に比べ、16~26ポイント減となった。セクハラ被害については、看護師の75%、介護士の58%が「精神疾患・認知症など病気に起因しない」と回答している。
疾患を持たない人がハラスメントする理由「性格の問題」と思う人、多数
精神疾患・認知症を持つ患者・利用者からのハラスメントについて聞くと、「頭では理解できるが、ストレスを感じる」が看護師62%、介護士57%で最多。
「耐え難いものであり、強いストレスを感じる」(看護師14%、介護士11%)を加えると看護師の8割、介護士の7割がストレスを感じていることになる。「病気なので仕事の一部として捉えている」は看護師24%、介護士32%に留まった。
一方、それらの疾患を持たない患者・利用者からのハラスメントについて、原因だと思うものを聞くと「患者・利用者の性格の問題」(看護師56%、介護士39%)が最多となった。
以降「入院・入所生活に対するストレス」(看護師29%、介護士23%)、「職業に対する軽視」(看護師10%、介護士15%)、「コミュニケーション不足」(看護師6%、介護士10%)と続く。
同社は、ここ10年でさまざまなハラスメントが社会問題としてメディアに取り上げられるようになったと指摘。ケアを受ける側は75歳以上の後期高齢者が大半であることから「ケアを行う側との間でハラスメントに対する意識の世代間ギャップがある」という。
医療介護業界におけるハラスメント対策は、人材の定着に欠かせないとしている。現在、介護業界で精神疾患・認知症ではない利用者に対して「ハラスメントをサービス提供中止の正当な理由とすべき」という意見もでており、患者・利用者側の意識改革が必要だとしている。