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ERC:最終戦ラリー・リエパヤ、ロシアの新鋭2連勝で2019年のWRカー挑戦権を獲得

2018年10月18日 17:01  AUTOSPORT web

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2018年のERCジュニアU28タイトルを総合優勝で決めたロシアのニコライ・グリアシン
ERCヨーロッパ・ラリー選手権の最終戦となる第8戦ラリー・リエパヤが、東欧ラトビアを舞台に10月13~14日に開催され、前戦ポーランドでも勝利を飾った21歳の新鋭ニコライ・グリアシン(シュコダ・ファビアR5)が、5連続を含む8ステージでベストタイムを記録し2連勝。これでERCジュニアU28タイトルも獲得し、そのプライズとして2019年のWRC世界ラリー選手権欧州ラウンドでの旧型WRカーによる参戦権を獲得した。

 第7戦のラリー・ポーランドですでに今季のドライバーズチャンピオンを獲得している“ロシアン・ロケット”ことアレクセイ・ルカヤナク(フォード・フィエスタR5)は最終戦のエントリーを見合わせたものの、その同郷の先輩に続けとばかりに奮起したのがこのロシアの新鋭グリアシンだった。

 今季はERCジュニアU28部門でのエントリーで、イギリス人のクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)やシュコダ・オート・ドイチェランドの支援を受けるファビアン・クルム(シュコダ・ファビアR5)らとタイトルを争ってきたグリアシンは、レグ1から高速グラベルステージとの相性を見せつけ、いきなり5連続トップタイムの快走でライバルを圧倒。

 最終のSS6では左リヤタイヤのパンクに見舞われるも、24.14kmのステージで残る半分の距離をねじ伏せるように走破したスポーツ・レーシング・テクノロジーのファビアR5は、タイヤが完全にホイールリムから脱落しながらも、わずか0.6秒のロスタイムで乗り切り、2番手のイングラムに対し大量19秒のマージンを持って初日を終えることとなった。

 明けたレグ2でもグリアシンの勢いは衰えず、SS7-8-9と3連続ベストを叩き出してスパート。ライバルの戦意を早々に失わせる走りでタイムギャップの拡大に成功すると、残る3SSは慎重なドライビングに切り替えフィニッシュランプへ。最終的に2位のイングラムに対し43.3秒差の大差で連勝を挙げ、ERCジュニアU28タイトルを確定させた。

「同じ高速グラベルのポーランドに続いて総合優勝を決められていい気分だし、本当に満足している」と、21歳になったばかりのグリアシン。

「僕たちの目標は決してプッシュすることではなく、確実に完走を果たすことだった。だから今夜は安心して眠ることができそうだ。僕はあまり感情を表に出すタイプではないけれど、本当に幸せな気分だよ」

「今季はシーズンを通じて多くのことを改善できたし、各イベントに優れた準備と素晴らしい戦略で臨むことができた。今は(シリーズ主催の)ユーロスポーツ・イベントからのギフトを受け取れる2019年が楽しみで仕方がないよ」

 一方、2位表彰台に上がったイングラムも、今季のジュニアU28選手権ランキング2位を確定。最後の表彰台は週末を通じて激しいポジション争いを展開したクルムに対し、フレデリック・アーリン(シュコダ・ファビアR5)が最終SSを前に0.1秒あった差をベストタイムで逆転し、8.1秒先行で今季初表彰台獲得となっている。

 これで全12SSのトップタイムをU28登録選手がマークするというERC史上初の記録も誕生し、ポーランドに続き4位となったクルムも、同ジュニアU28のランキング3位を決めている。

 これでU28新王者となったグリアシンは、来季2019年のWRCヨーロッパ・ラウンドのいずれかの1戦に向け、2016年スペックの旧型WRカーでのエントリーと資金提供を受ける権利を獲得。2017年に初代U28チャンピオンを決めたマリアン・グリーベルは、このプライズを活用して2018年のADACラリー・ドイチェランドでシトロエンDS3 WRCをドライブしている。

 しかし、このWRカー・プライズに代わるものとしてR5カーでのERCイベント2戦分の参戦費用負担というオプションも用意されており、その際のチームや車両選択にも制限はなしとあって、グリアシンはこちらの選択肢にも興味を示している。

「ユーロスポーツからの贈り物としては、WRカーはもちろんERC2戦分のエントリー費用負担の方策にも興味がある。いずれにせよ、じっくり考えてから決断したいと思っているよ」