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『DEATH STRANDING』日本語トレイラーも公開のイベントレポ 声優と1対1で向き合うコジプロの“熱意”

2018年10月18日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 9月23日、東京ゲームショウ(以下、TGS)2日目のプレイステーションブースにおいて、コジマプロダクションのPS4向け新作タイトル『DEATH STRANDING』(デス・ストランディング)のイベントステージが開催された。現在制作中の同ゲームについて、日本語吹き替え声優たちとともに魅力を語るトークイベントとなった。多数の観客の熱狂に迎えられた同イベントの模様をあらためて振り返ろう。


(関連:ゲームは映画の世界を超えた? 小島秀夫『DEATH STRANDING』にハリウッド俳優が続々


 プレイステーションブースでは2日間多数のイベントが開催されたが、同イベントは最終日の最後を飾る豪華な内容となった。司会進行を勤めたのはお笑いコンビ・ハライチの岩井勇気だ。アニメ・ゲームなどにも造詣が深く、挨拶も早々に小島秀夫監督を迎えると、最新作の情報を楽しみにしていたと語った。


 ゲームの制作状況について尋ねられた小島監督は、その進捗をおおむね順調だとし、現在の作業内容についても答えた。


「実際朝から晩まで僕がコントローラを持って、ゲームの組み込みをやっている段階です。操作感や演出についてのチェックをしています」


 昨年起きた俳優協会のストライキの影響で、ノーマン・リーダスなど主要キャストの収録ができない期間があり、そこだけは若干制作が遅れているとのことだ。


 続けて登壇したのは日本語吹き替えを担当した声優たちだ。「声優たちとそのファンが触れ合えるステージを作りたかった」として、豪華キャストが続々登場した。ノーマン・リーダスの吹き替えを務める津田健次郎を先頭に、大塚明夫、井上喜久子、水樹奈々、三上哲が登壇した。


 順に挨拶をする声優たちのなかで、大塚明夫が開口一番「デス・ストランディング、待たせたな!」と会場を盛り上げたのに対し、三上哲が「デス・ストランディング、いいセンスだ!」と返すなど、コジマ・プロダクションの座組らしい応酬も見られた。


 また、リンゼイ・ワグナーの吹き替えを担当する井上に話題が移ると、監督は2人を指して「いずれも歳を取らない」と語り、会場の笑いを誘った。


 翌日行われた『キングスーパーライブ2018』のリハを抜け出してこのイベントに参加した水樹は、トレイラー映像の吹き替えエピソードに触れた。


「(TGSに)絶対参加したかったんです。また小島監督とご一緒できるのが嬉しくて。トレイラーの吹き替え時には、最初はなんの情報もないまま、ペラっとした台本で、世界観の設定が書かれた資料とかまったくなくて、水樹さんはこの役です、って言われて……」


「前回(METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES)はお腹から爆弾抜く役で、今回は虫食う役です」と、トレイラーの映像にまつわる監督のツッコミも映える。


 大塚が吹き替えるのはトミー・アール・ジェンキンスの演じるキャラクターで、ゲーム内では主人公・サムの所属する部隊の隊長だという。監督はキャスティングに際し、


「ゲーム内でも部隊をまとめる隊長であると同時に、吹き替え現場をまとめる大塚明夫さんであってほしい」という思いを伝えたと思う。


 ゲームへの期待を聞かれた大塚は、「”HIDEO KOJIMAのゲーム”を待ちわびている人が世界中にいるわけで『遊び始めたらもう寝られない!』みたいな、楽しいゲームになっていてくれさえすれば何も望むことはないです!」と答えた。


 また、三上の役については、その日初公開となる映像で姿が明かされた。吹き替えるのはトロイ・ベイカー氏が演じる黄金の仮面を付けた怪しい男。ボス戦直前のような緊張感あるムービーに、観客も歓声を上げた。


 マッツ・ミケルセンの吹き替え声優について聞かれた監督は、まだ公開できないとしながらも、「2年ぐらい探し続けてようやく見つけた」というキャスティングへのこだわりを見せた。


 続いて質問コーナーが始まった。キャスティングの決め手について尋ねられた監督は、「演技や魅力はありますが、その人の人格によります。すべてはそれですね、そこから出てくるものですから。もともと持っている深みを引き出すのは僕らの仕事です。だから、みなさんとの信頼関係を築くのに時間をかけています」と答えた。


 「ハードなシーンでの小島監督の情熱はこちらに伝わってくるし、一緒に作ってくださる姿勢を感じます、大変なシーンでも、フッて面白いことを言って笑わせてくれるから、ありがたいです」と返した井上に水樹も同意し、「実際に表に出て表現される方と同じように私達声優陣も扱ってくださって、『一緒に録るからこそ生まれるパッション、そこでしか生まれない化学変化を大事にしたい』とおっしゃってくださって、だからキャラクターの掛け合いのセリフは必ず(複数のキャストが)一緒に録れるようにスケジューリングしてくださるのがすごく嬉しくて。ゲームって、一人でこもって淡々と録っていくっていうのが多いので、相手のセリフを想像するしかなくて、出来上がったときに『あ、こういうふうに返されるならもっと、こう返したかったのに!』って悔しい思いをすることも結構あって、でも小島監督の現場は必ず収録が一緒なので、その場でしかできないアクトができるところがすごく嬉しいです」と答えた。


 最後に一言、と振られた監督は、同ゲームについてこう語った。


「デス・ストランディングは”縄”のゲームです。縄のつながりを持ちたいと思い、作っているゲームです。ソニーさんとの絆、キャストさんとの絆、皆さんとの絆、あらゆるものが絆でつながっているという。ゲームも絆です。今日の皆さんともつながっていると思います。皆さんとつながったままゲーム開発を続けていきますので、もうしばらくお待ち下さい。本日はありがとうございました」


 豪華キャストで彩られ、新情報も多数解禁された同イベント。会場の熱気も凄まじく、ユーザの期待も高まるばかりだ。2016年6月に制作が発表されてから2年が経過した同ゲームだが、小島監督こだわりのキャスティングにも注目しつつ、引き続き新たな情報を楽しみにしたい。


 また、TGSではコジマプロダクションも出展しており、ブースではゲームの展示はなかったものの、グッズの販売を行った。ブースは閉会直前まで客足の途切れない盛況ぶりで、ここからもデス・ストランディングへのユーザの期待がうかがえた。


(白石倖介)