ニッサン、BMWというふたつのメーカーワークスチームを新たに迎える2018/19年ABBフォーミュラE選手権の公式プレシーズンテストが10月16日、スペインのバレンシア・サーキットで行われ、アレクサンダー・シムズ(BMW i アンドレッティ・モータースポート)が初日の総合トップタイムをマークした。
“Gen2”と呼ばれる新世代シャシーの採用により従来のマシンよりもパワフル、かつ渡航距離を飛躍的に向上させたことでレース中盤の“マシン乗り換え”が不要になるなど、多くのレースフォーマットが変更になるフォーミュラE第5シーズン。
すでに多くのチームがプライベートを実施するなか、新シーズンを戦う全11チーム、合計22台のマシンが一堂に会するのは今回が初めて。16日のバレンシアでは、マクラーレンF1のストフェル・バンドーン(HWAレースラボ)や元F1ドライバーのフェリペ・マッサ(ベンチュリ・フォーミュラEチーム)、先日2018年のDTM王者に輝いたゲイリー・パフェット(HWAレースラボ)など8名の“ルーキー”を加えたドライバー陣が、所属各チームとともに2018年12月15日に開催される開幕戦ディルイーヤE-Prix(サウジアラビア)に向けてテストメニューをこなした。
■“ルーキー”シムズが初日首位。2年目のアンドレ・ロッテラーが2番手に
バレンシア・サーキットがプレシーズンテストの舞台となったのは、昨シーズンに続いて2年連続だ。ホームストレート上にバリアで造られたシケインを設置して行われた今回のテストは午前と午後に各3時間ずつ走行時間が設けられ、いずれのセッションでもシムズが最速ラップを記録。
1回目の1分17秒567に続き、午後は1分17秒553とタイムを縮めた“ルーキー”と、鳴り物入りでシリーズに飛び込んできたBMWワークスが初日から存在感を放っている。
トップと0.101秒差の総合2番手は昨シーズン、フォーミュラEにデビューしたアンドレ・ロッテラー(DSテチーター)がつけ、同3番手にはシムズの僚友、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(BMW i アンドレッティ・モータースポート)が入った。
トップ3の後方ではアウディスポーツ・アプト・シェフラーのルーカス・ディ・グラッシとダニエル・アプトが4番手、5番手に続き、マヒンドラ・レーシングへ移籍したジェローム・ダンブロシオが6番手に。ここまでが首位と同じ1分17秒台に入っており、7番手となった王者ジャン-エリック・ベルニュ(DSテチーター)以下、16番手のミッチ・エバンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)までが1分18秒台のタイムだ。
■新規参戦のニッサンは8番手。バンドーンは午後にトラブル発生
前年までの4シーズンに渡って参戦したルノーに代わってフォーミュラEに挑むニッサン・e.ダムスは、セバスチャン・ブエミが愛車である23号車に加えて、アレクサンダー・アルボンの22号車にも乗り込んで合計42をラップ。ブエミはそのなかで1分18秒100というタイムを23号車でマークし、ベルニュに次ぐ8番手となった。なお、この日、アルボンはタイム計測を行わず。リザルトはNo Timeの最下位となっている。
テスト初日の午前は大きなトラブルなくセッションが進んだが、午後になるとHWAレースラボのルーキー、パフェットがシケインに衝突するアクシデントが発生した。このためセッションは一時中断され、パフェットのマシンの回収、ならびにバリアの修復が行われている。
また、同じくルーキーのマキシミリアン・ギュンター(ジェオックス・ドラゴン)は午前に、バンドーンのマシンには午後になってメカニカルトラブルが発生。この影響で両ドライバーは走行機会が奪われ、午前のみの出走予定だったギュンターは2周のみで走行を終え、バンドーンも午後は0周。1日の走行は午前のわずか10周に留まった。
バレンシアを舞台に行われている2018/19年フォーミュラE公式プレシーズンテストは、10月17日も初日と同様に計6時間の走行時間が設けられる。同テストは18日の休息日を挟んで19日まで実施される予定だ。