「なんでこんな人が部長なんだ?」と、上司に腹を立てた経験はないだろうか。もしかしたらその人は"無能だからこそ"出世できたのかもしれない。10月14日の『林先生が驚く初耳学!』(TBS系)では、林修氏が「無能な人が出世する」と解説した。
林氏は、能力と役職は比例しないという。しかし、ハライチの澤部佑さんは「優秀な人も出世しますよね?全員無能なわけないじゃないですか」と疑問を呈する。スタジオの他の出演者も同じような疑問を持っていたようだが、林氏は、
「そもそも無能な人とは違う、かつては優秀だった人が、いつの間にか無能な管理職になってしまうという、ちょっと種類の違うもう1つの無能が世の中にはある」
と切り出した。(文:石川祐介)
プレイヤーとして必要な力とマネジメントで求められる能力が違うために起こる悲劇
仕事では、ポジションによって求められる能力が違うため、あるポジションで評価されて出世した人が新たなポジションで能力を発揮できるかどうかは、わからない。トップセールスマンが成績を評価されて主任になったとしても、主任として要求される能力と、セールスマンとしての能力は異なる。
「仮に主任の仕事をクリアしたとしましょう。そうすると、さらに出世して地区長に出世するかもしれない。もっと広い範囲を管理しなきゃいけなくなり、主任まではなんとかなったけど、地区長になったらお手上げってことが起きる。つまり、主任で止まるということは、主任としての能力がない人がそのポジションにいることになる」
こうした現象は、「ピーターの法則」と呼ばれているという。
「無能な人が、自分を脅かす有能な部下を昇進させると思います?」
林氏は、無能な上司がいても会社が成り立つのは、「組織は、まだ無能レベルに達していない人達によって動いている」ためだと説明していた。今のポジションより先に行ける能力がある人は、今いる場所で余裕をもって仕事が出来る。会社は、実質的にこうした人達によって支えられているという見解だ。林氏はまた、
「無能な人が上のポジションにいるでしょ?そういう人が上にいたら、自分を脅かす有能な部下を昇進させると思います?」
とも問いかける。有能な部下を引っ張り上げたくないという感情で、負の連鎖が起きているのかもしれない。
ちなみに、ジャーナリストの松浦晋也氏は以前、自身のツイッターで
「過去30年以上の取材生活で何度か見た、『一番無能な奴が、無能故に仕事を割り振られず、その結果失敗せずに、自分は有能だという意識のままに昇進してトップに立ってしまう現象』って、ほんとなんとかならんもんかな、と思う。減点主義考課って、一番ダメなのが一番偉くなったりするんだよ」
とツイートしていた。出世パターンは多種多様のようだが、「無能な人が出世する」というのは、あながち嘘ではないのかもしれない。