今年も11月15~18日に、マカオ市街地のギア・サーキットで開催される第65回マカオグランプリ。毎年トップカテゴリー進出を狙う若手ドライバーが激しい戦いを展開するが、今季FIA F3ワールドカップには、7台+ふたりほどの日本勢が参戦することになりそうだ。
1954年に始まり、今年で65回目を迎える伝統のマカオグランプリは、メインレースとして1983年からF3規格が採用され、“F3世界一決定戦”として各国のF3シリーズから上位が参戦。初代ウイナーのアイルトン・セナをはじめ多くの参戦ドライバーがF1に巣立っていった。日本人ドライバーでは、2001年に佐藤琢磨が、2008年に国本京佑が優勝を飾っている。
近年のF3マカオグランプリは、FIA国際自動車連盟により『FIA F3ワールドカップ』として開催されており、ヨーロピアンF3や全日本F3の参戦ドライバーに加え、すでに上位カテゴリーで戦っているドライバーも参戦している。
今季のF3マカオグランプリに向けては、すでに大会へのエントリーが締め切られており、10月18日にはエントリーが発表されるというが、取材するとまだエントリーが確定ではないため“決定”ではないものの、日本チームは7台ほどが参戦することになりそうだ。
全日本F3勢では、チャンピオンの坪井翔、宮田莉朋のふたりがトムスから参戦することが濃厚。坪井は3回目、宮田は2回目の挑戦になる。「出ることが確定すれば3回目の挑戦になりますが、最近マカオでは日本勢が活躍していないですし、世界一を目指したいです。3回目なので、1年目よりチャンスは確実にある。日本で学んだことを活かして戦いたいです」と坪井は第7ラウンドのSUGOで語っている。
また、今季ランキング3位につけた笹原右京を擁するThreeBond Racingも今季も参戦する方向だ。「今までヨーロッパではフォーミュラ・ルノー等経験しましたが、なぜか出場していた年だけ市街地コースがなくて、もし参戦が決まったら市街地は初めてになる」という笹原だが、今季SRS-F出身ドライバーのなかで最上位の実力で、かつて切磋琢磨したヨーロッパ勢とどんな戦いを展開するのかが楽しみなところだ。
SRS-F出身では、TODA RACINGの阪口晴南、大湯都史樹も初めてのマカオ挑戦を果たすことになりそうだ。2台ともエントリー申請をしているようで、受理されればふたりとも参戦することになる。市街地でどんな走りをみせるだろうか。
一方、組田龍司代表がマカオ制覇に向け情熱を燃やすB-MAX RACING TEAMも2台をエントリーしたようだが、こちらは今季のレギュラーではなく、1台は過去にチームに在籍した日本人ドライバーに、もう1台は外国人ドライバーになりそう。
組田代表は昨年ドライバーDRAGONとしてもマカオに初挑戦し、「来年も出るつもり」と語っていたが、今季については「出たかったんですけど、枠がいっぱいで……」という。実は今季のF3マカオグランプリは“過去最大のエントリー”を集めているようなのだ。
ヨーロッパからは、ヨーロピアンF3でも大きな勢力を誇るプレマ・セオドール・レーシング、カーリン、モトパークが5台ずつをエントリーしている様子。また。ファン・アメルスフールト、ハイテック等のエントリーも有力視されており、フルグリッド26台が埋まる可能性も高い。
そしてヨーロッパのチームでは、佐藤万璃音(モトパーク)の参戦の可能性も高いほか、今季全日本F3を戦った片山義章もヨーロッパのチームから参戦する可能性が高そうだ。日本人ドライバーだけで8人、日本チームというくくりでは7台が参戦しそう。
フルグリッドでのレースはもちろん見応えも多く、日本勢が多ければ注目度も高まる。今季ヨーロピアンF3チャンピオンを獲得したミック・シューマッハーや、ライバルで昨年のマカオを制したダニエル・ティクトゥムが参戦するかはまだ分からないが、今季のマカオは注目の戦いと言えそうだ。