東京医科大の不正入試を受け文部科学省は、医学部医学科を持つ81大学の入試状況を調査した。この結果、複数の大学で女子や浪人の受験生を不利にする扱いをしていたことが分かった。昭和大学は10月15日に会見を開くなど、対応に追われている。
脳科学者の茂木健一郎さんは同日、ツイッターで、医学部入試の「浪人生」の扱いを巡り自身の思いを投稿した。「一浪」「二浪」などの言葉自体が「高校から間を空けずに大学に進学することを前提にしており、多様性のかけらもない」と述べた上で、
「貧弱な人間観、キャリア観。その程度の人たちが集まったのが日本の『大学』。頭が悪すぎる。本来、多様な人生の履歴の中で、自分のタイミングで大学に行けばいい」
と批判した。
高校卒業後5年目に医学部を志したら「自動的に5浪なのか?バカなのか?」
13日には、ユーチューブに「医学部入試で、女子や『多浪』生を差別するのって、どうなの?」という動画を投稿している。同件について「人間をジェンダーとか浪人とかで決めつけるって、どうなっているんですか。はっきり言って頭おかしいですよね」と言い切った。
茂木さんは、現代の日本は浪人などを「履歴書に穴が空く」と否定的な目で見ると指摘。高校を卒業して5年目に医学部を志した場合、「自動的に5浪なのか? バカなのか?」と疑問を投げかける。
「例えば海外をボランティアしながら旅行したり、働いたりとかして、それで医学の必要性に目覚める人もいるじゃないですか。それが多様性ってもんでしょ? 多浪の受験生を差別するって本当にバカ。救いようがないバカ」
「人生って寄り道とか色々あって、医学を志す人だって当然いるわけでしょ」
このような状況に「がっかり」するという茂木さん。「受験生の個性や、一人ひとりの人生の違うキャリアパスを見て『この人はこの時期にこうやって医学部を志願してきたんだな』って見るべき」と話す。
入試で差別をした大学に対しては、「(個人のバックボーンを見ようとしない)貧しい人生観というか、人間観してるんでしょうね」「人間一人ひとりの個性を見る最も大事なアカデミズムを実践しましょうね」と憤った。
動画コメント欄には、25歳で働きながら医学部受験の勉強をしているという人から「医学部のジェンダー・年齢差別について声を大にして言う人があまり居ないので、この動画を見て普通に嬉しかった。ありがとう茂木先生!」という声も寄せられた。
ツイッターでは「未だに、キャリアの道が一本線ですね」「まったく同じことが就活にも当てはまる。人生のキャリアに空白を作ってはいけないって、いったいどんな理屈で正当化できるのだろうか」など共感の声が相次いだ。