長生きはしたくなくても、「元気なままでコロリと逝きたい」人は多いだろう。マツコ・デラックスさんと有働由美子アナウンサーが司会を務めるNHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」(NHK総合)の、10月13日放送のテーマは「健康寿命」だった。
のべ41万人の高齢者のデータを元にAIが解析すると、健康寿命を延ばすには「運動よりも食事よりも読書が大事」という驚きの結果がはじき出された。これにマツコさんは「斜陽産業の各出版社は小躍りをしてるわよ」としつつ、
「画期的じゃない?今までの流れだと、体育会系が正義だっていう風潮だったじゃないですか」
と驚きをあらわにした。(文:okei)
米・イェール大学の研究でも「読書習慣のある人は、無い人に比べて23カ月寿命が長い」
これを裏付ける例として出ていたのは、山梨県民の生活習慣だ。山梨県は、「健康寿命」の長さが1位で、「運動・スポーツ実施率」は最下位。注目すべきは、山梨は「人口に対する図書館の数」が全国1位という点。全国平均が2.61館なのに対し、山梨は6.59館とダントツだ。番組が山梨県の県立図書館で利用者を取材すると、
「本を探すことでいい運動になる(図書館内をよく歩くため)」
「知的な刺激を受ける(様々なジャンルの本を読むことで)」
「記憶が呼び覚まされる(旅行雑誌を見てかつての旅行を思い出す)」
など、多面的に健康寿命に効果的とみられる特徴が分かった。
山梨県は、戦後早い時期から学校司書(図書室専門の職員)制度を整備し、子どもの読書を推進してきた。学校司書配置率は全国平均59.3%なのに対し、山梨は98.3%と高く、高齢になっても読書習慣が続いている人が多いとみられる。
米・イェール大学の研究論文「読書と長寿の関連性」によると、50歳以上の約3600人を対象にした12年間の追跡調査から、「読書習慣のある人は、無い人に比べて23カ月寿命が長い」という結果が出たという。しかも、「性別や健康状態、財産、学歴に関係なく、純粋に本を読むことが長寿につながった」と結論付けられていた。
千葉大学の近藤克則教授は、AIの知見に「本当かな」といぶかしがりながらも、日本老年学的評価研究機構(JAGES)の研究の最中、図書館の近くに住んでいることと要介護リスクの低さに関連が見られたと明かした。「『心が動くと体が動く』という言葉もある通り、"本や雑誌を読む"ことは、行動を起こすきっかけを与えてくれる」と、少し納得した様子だ。
「本を読むって、面倒くさいことを自らしている。活力や向上心があるということが大事なのかな」
マツコさんは、「本を読むってことは、面倒くさいことを自らしている。活力や向上心があるということが大事なのかな」と感想を漏らした。
2017年には、世界的に有名な医学雑誌に「認知症を減らすための手がかり」の一つとして、「初等教育をしっかり受けることが認知症を減らす効果につながる」と公表されているとも紹介された。他のAI提言は首をひねることが多いマツコさんだが、これには関心しきりの様子で、
「小さなころから読書を身近に感じるようにしておいたほうがいいわね」
「図書館や本が救えることって、けっこう多いのかもね。(社会人が行けるくらい)遅くまでやっている図書館を駅前に1つ作るだけで、いろんな問題を解決できるかもしれない」
などとコメント。
東京大学の坂田一郎教授が、健康問題の対策として「学校司書を全校に配置するにしても、医療(病院を作る)よりはコストがかからない良い政策」と提言すると、マツコさんは「国の大きな指針にしてもいいくらい、すごい発見だよ」と興奮した様子で称賛していた。