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SUPER JUNIOR×Reik、V6×S.E.S、Block B×ちゃんみな……欧米圏以外にも進むK-POPコラボ

2018年10月15日 14:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 SUPER JUNIORが、10月8日にラテンミュージックをテーマにしたスペシャルミニアルバム『One More Time』をリリースした。タイトル曲の「One More Time」では、今年2月にリリースした「Me Niego」のYouTube再生回数がすでに6億回を超えているメキシコのラテントリオユニット・Reikとコラボレーションしている。前回のアルバムタイトル曲で、ドミニカ系アメリカ人ラテンシンガーのレスリー・グレースとコラボレーションした「Lo Siento」は、楽曲制作にもラテン系エレクトリックデュオ・Play-N-Skillzが参加。韓国の楽曲としては初めてUS Billboardのラテン・デジタルソングチャートにランクインしている。


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 近年US billboardではラテンチャートは独立して定着しており、ラテンミュージック自体の流行もあって、音楽業界で世界的に特に注目を受けている文化圏であると言えるだろう。アジアでは欧米圏でのチャートインの方が主に注目されがちだが、スペイン語は英語を超えて世界で2番目に話者が多い言語であり、世界20カ国語以上の国の公用語として独自の広い文化圏を構築している需要が大きいエリアである。K-POP関連のニュースを流す老舗スペイン語ニュースアカウント・K-Pop Méxicoのフォロワー数は5万8千人を超えているが、ワールドツアーの一環としてライブを行うことはあっても今までこの文化圏への進出を本格的に試みたK-POPアーティストはいなかった。


 今回のアルバムでは、過去5回のグラミー賞を受賞しているラテン界のスターであるルイス・ミゲルの大ヒット曲「Ahora te puedes marchar」をカバーしており(実はこの曲自体もダスティ・スプリングフィールド「I Only Want to Be With You」のスペイン語カバー曲)、『EL UNIVERSAL』(メキシコ)や『EL PAÍS』(スペイン)といったスペイン語圏のメジャー紙でもニュースになっていた。また、「Lo Siento」はニコロデオンが主催する『キッズチョイスアワード・メキシコ2018』において、ルイス・フォンシやセレーナ・ゴメス等を抑えコラボレーション部門賞を受賞した。SUPER JUNIORは過去、ワールドツアーでブラジル、チリ、ペルー、メキシコ、アルゼンチンと頻繁に南米圏でコンサートを行なっているグループであるが、ベテランならではの成熟した雰囲気と共存する稚気のある人間くさいイメージや独特のパワフルさは、現在ラテンミュージックに最も似合うK-POPグループとも言えるかもしれない。


 SUPER JUNIORのように、K-POPアーティストが欧米圏だけではなく様々な文化圏に進出して現地のミュージシャンとコラボレーションを行なっている例は過去にも珍しくない。今回は欧米圏以外でのK-POPと現地ミュージシャンのコラボレーションをいくつか紹介したい。


 台湾や香港、マカオといった中国語圏は、初期から韓国のアーティストが活発に活動進出してきたエリアだ。1990年代末に韓国の国民的グループだったH.O.T(今年10月に復活コンサート開催予定とのこと)のカンタと香港の超人気ユニット・F4出身のヴァネス・ウーは、台湾の『ゴールデンミュージックアワード』での共演をきっかけに2006年にユニットを結成した。アルバム『SCANDAL』は韓国語・中国語・英語バージョンで韓国・香港・日本・台湾でも発売され、韓国・香港・中国(北京)で公演を行った。また、2007年にはソウル・オリンピック公園で開催されたSMエンターテインメントのサマーコンサートにも出演している。


 現在韓国よりも中国本土での活動が多く、中国での人気が高いT-ARAはインターネットから人気が出た兄弟ユニット・チョップスティックブラザーズ(筷子兄弟)の「リトル・アップル(小苹果)」をカバーした。中国のインターネットで“ネタ化”するなど大ヒットを記録したこの歌は、振付を“乗馬ダンス”が世界的に流行した「江南スタイル」のコレオグラファーチームだったイジュソンが担当しており、『CCTVグローバルチャイナミュージックチャート(全球中文音乐榜)』で1位を獲得している。T-ARAによるカバーバージョンはMOMOLAND「BBoom BBoom」などで知られ、過去にT-ARAのヒット曲も多く手がけていたシンサドンホレンイのプロデュースで韓国語/中国語でリリースされた。


 日本での第1次K-POPブーム真っ只中とも言うべき2010年前後には、日本での所属レコードレーベルが同じ日韓アーティスト同士のコラボレーションがよく見られた。他にも青山テルマとSOL(BIGBANG)、CHEMISTRYとリナ・パーク&Brown Eyesなど特にavexで盛んに行われていたようだ。韓国を最初に訪れたジャニーズグループであるV6も、当時SMエンターテインメント所属の女性グループ・S.E.Sとお互いの曲にフィーチャリングしたりメンバーがMVに出演したりもしていた。


 T2Uなど日本独自ユニットでも活動しているBlock B。U-KWON(ユグォン)、TAEIL(テイル)、P.O.(ピオ)、B-BOMB(ビボム)、ジェヒョ(JAEHYO)の5人のメンバーによる「PROJECT-1」ではラッパーのちゃんみな、KEN THE 390、w-inds. のKEITAなど様々なアーティストとメンバーのユニット/ソロプロジェクトを見ることが出来た。


 他にもINFINITEとベッキー♪♯、AOAとT.M.Revolutionなど、すでにK-POPが定着している日本では以前から日韓アーティストコラボは珍しくないようだ。


 内需の規模という事情もあり、10年以上前から海外進出を目標としてきたK-POP業界。近年はインターネットやSNSの普及により世界中へ自由に音源や映像にアクセスしやすくなったことにより、さらに様々な文化圏への進出が進んでいきそうだ。(DJ泡沫)