F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズが日本GPで展示されたホンダパワーユニット『RA618H』を紹介、分析する。
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ホンダは毎年、F1日本GPでパワーユニットを観客に披露している。他のメーカーは、ここまでのサービスを地元ファンにはしていない。2018年はピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーのマシンに搭載されているパワーユニット『RA618H』が展示された。
日本製V6ハイブリッドは、基本レイアウトは2015年から大きく変わっていない。タービンとコンプレッサー分離タイプで、両者は長いシャフトで連結され、間にMGU-H(熱エネルギー回生システム)が挟み込まれる。ただし2017年からは、コンプレッサーはVバンクの内側ではなく、メルセデスの形式を踏襲してエンジンブロックの前方に置かれた。
この方がコンプレッサーの形状を大きくできるため、パワーを上げやすい利点がある。ただしこのレイアウト変更のために、燃料タンクは根本から再設計しなければならなかった。
写真でおわかりのように、コンプレッサーは巨大な潜望鏡のような形状のカーボン製ダクトを通して、空気を取り入れる。そしてこのダクトはオイルタンクの真ん中を貫通している(黄色矢印)。さらにその上部には、インタークーラーを通過して冷却され圧縮された空気の取り入れ口がふたつ(紫色矢印)。エアボックスに繋がるものだ。
エンジンブロック上部には、各バンクひとつずつある直噴ポンプも視認できる(赤色矢印)。このポンプは燃料を500barまで加圧し、インジェクターに送り込んでいる。
パワーユニット底部に見えるオレンジ色の太いケーブルは、電子制御ボックスへ電気を送る役割を果たす。ここで交流から直流に変換され、バッテリーに蓄電されるのである。緑色矢印はそこからMGU-Hへ、青色矢印はMGU-K(運動エネルギー回生システム)に繋がる。
ホンダ製パワーユニットの後部には、エアボックス(黄色矢印)、2本のウェストゲートのダクト(青色矢印)、タービン(赤色矢印)、そして黒いカバーで隠されたクラッチ(緑色矢印)が見える。
ホンダはクラッチをギヤボックスではなく、エンジンブロックに直接取り付けている。毎分15000回転とレブが比較的低いため、直付けも可能なのだ。トルクを増やすのに効果的な手法で、メルセデスも採用している。