ルノーF1チームのマネジングディレクターを務めるシリル・アビテブールは、2018年F1世界選手権におけるこの重大な局面において、メルセデスF1トップのトト・ウォルフがチームオーダーを発令したことは、正しいと述べている。
ロシアGPで、ウォルフはバルテリ・ボッタスにレース首位の座をルイス・ハミルトンに譲るように指示し、物議を醸し出した。ボッタスは日本GPでも再び一時的な“サポート役”に甘んじなければならなかった。
レース展開としての評判は良くなかったが、シーズンのこの時点において、メルセデスとしては賢明な戦略を採ったとアビテブールは主張する。
「コンコルド協定の経済構造を見れば、コンストラクターズ選手権を獲得することで大きなアドバンテージを得られる」とアビテブールはフランスのAuto Hebdoに語った。
「一方で、人々は世界チャンピオンになったドライバーの名前しか覚えていないものだ。だからこのふたつの要素と、どう折り合いをつけるかということになる」と彼は付け加えた。
現在ハミルトンはドライバーズ選手権でフェラーリのセバスチャン・ベッテルに対し、67ポイントの差をつけている。もし彼が次戦アメリカGPで優勝した場合、ベッテルは2位でフィニッシュしなければ、その次のメキシコGPでタイトル争いを続けることはできなくなる。
しかしコンストラクターズ選手権では、事はそれほど明確ではない。2018年シーズンにあと4戦を残す現在、メルセデスがフェラーリに対し78ポイントのリードを広げていてもだ。
「メルセデスの状況への対処の仕方は最も適切だったと私は思う。チームにおけるルールについては、完全な透明性を確保した方がいい」とアビテブールは主張した。
現在40歳のアビテブールは、メルセデスに対し気を許すような見方をすることはほとんどない。アビテブールは、ルノーがエステバン・オコンとの2019年の契約を見送った理由は、彼がメルセデスと密接な関係にあることが主な理由であり、その代わりにダニエル・リカルドをレッドブルから引き抜いたのだと認めた。
「彼がメルセデス傘下のドライバーだという深刻な問題があった。短期的または中期的にはエステバンと仕事をすることができたかもしれないが、彼はルノー専任のドライバーでなければならない」と彼はNice Matinに語った。
「私の言葉を信じてほしいのだが、エステバンは非常に才能があり、間違いなくF1に戻ってこれるだろう」と彼は付け加えた。しかしながら今となっては、ルノーの選択によってオコンは来年のグランプリのグリッドで居場所が失いかねない状況にある。
ルノーの元チーフテクニカルオフィサーで、7月にチームの非常勤顧問となったボブ・ベルは、2019年のドライバーの選択肢としてはカルロス・サインツJr.が最有力候補だったことを認めた。
現在サインツJr.はレッドブルからルノーへ1年間のみの契約で貸し出されているが、そのことが彼の完全移籍を阻んでいた。
「我々にとって非常に難しい状況だった。もしレッドブルが彼に対するオプションを行使したら、我々にできることは何もなかった。だからリカルドが候補に上がったとき、我々は決断しなければならなかったのだ」とベルは語った。
サインツJr.はレッドブルから放出され、マクラーレンに移籍する。そして今季限りでF1を引退することを決断したフェルナンド・アロンソの後任となる。
「フェルナンドがF1を去るのは非常に残念なことだ」とベルはスペインの全国スポーツ紙Marcaに語った。
「彼がたった2回しかタイトルを獲れずに去ることは、さらに残念だ。彼ならタイトルを4回や5回獲得することもたやすかっただろう。だがこれもドライバーの正常なサイクルなのだ。来年はフェラーリとレッドブルに、若く刺激的な才能の持ち主たちが加入する」とベルは述べている。