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まさかのどんでん返し! 中島健人『ドロ刑』は異色と王道を取り入れた面白いドラマになる予感

2018年10月14日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 さとり世代を象徴するかのような新米刑事と稀代の大泥棒がコンビを組むという異色刑事ドラマ『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系)が10月13日、スタートした。今年連載が開始されたばかりの福田秀のコミックスを早くも実写化したことや、Sexy Zoneの中島健人が初めてのプライムタイム連ドラ主演を飾ること、さらにNHKの朝の連続テレビ小説『半分、青い。』で“マアくん”役を演じて人気高騰中の中村倫也の出演など、何かと注目すべき点が満載の本作。


参考:刑事姿の中島健人【写真】


 10月13日に放送された第1話では、主人公・斑目勉(中島)が泥棒騒ぎを見て見ぬ振りしたことを咎められ、なぜか突然警視庁刑事部への異動を命じられることに。刑事になると定時で帰れないと落ち込んでいた斑目は、偶然立ち寄ったバーで伝説の大泥棒・煙鴉(遠藤憲一)に遭遇。ひょんなことから彼の助けを借りて、出所したばかりの大物“キツツキのマサ”を捕まえるために奔走するのだ。


 そもそもタイトルにもなっている「ドロ刑」というのは窃盗犯を主に捜査する刑事部捜査三課の俗称。よく刑事ドラマで目にする殺人や誘拐犯などの凶悪犯罪を追うのが捜査一課で、詐欺や脱税などの知能犯罪を捜査するのが捜査二課。ドラマチックな派手さがないだけに斑目が不平不満を漏らすのも納得せざるを得ないところではあるが、凶悪犯罪へとつながる部分もあり、また知能を凝らした空き巣などもいることから、煙鴉が劇中で語る通り「泥棒刑事には刑事の仕事のすべて詰まっている」と言うことができよう。


 中島と遠藤の33歳差を感じさせない絶妙なコンビネーションもさることながら、本作の興味深いところは物語のキーとなる犯人役の心理を描き出し、それを見破って巧みに漬け込むという取り調べのテクニックではないだろうか。成功させるために努力を惜しまず、高いプライドを持って犯罪を犯すプロの窃盗犯を落とすために、そのプライドをズタズタに打ち砕く一芝居を打つ。斑目の飄々とした頼りなさげな雰囲気も相まって、“キツツキのマサ”へのどんでん返しと視聴者へのどんでん返しを同時に遂行。導入のエピソードとなる第1話としては、なかなかの見応えだった。


 それにしても、この斑目勉というキャラクターの描き方はこのドラマの要になりそうだ。いかにも現代的な若者像でありながら、バーでにおいからすんなりと煙鴉であることを見抜く記憶力と嗅覚の鋭さ。さらに仕事へのやる気がない割には取り調べなどの手続きに関してもしっかりと把握しており、煙鴉に協力をあおいで行う作戦の段取りさえも一夜漬けで頭に叩き込むことができる柔軟さ。どこまでもしたたかでありながら、途方もない天才肌である予感が漂う。


 そして第1話の終盤に、斑目は三課のオールスター刑事を集めた新しい“13係”への配属が決まる。建物内の僻地に無理やり作られた部屋に集まった、超個性的な顔ぶれ。このドラマは斑目と煙鴉のバディドラマであると同時にこの“13係”のチーム劇にもなるということか。第三係という異色の題材を扱う代わりに、刑事ドラマの王道である“バディ”と“チーム”の両方を取り入れるというのは、とても面白いドラマになりそうだ。(久保田和馬)