2度のF1ワールドチャンピオンに輝き、今年もF1に参戦しながらWEC世界耐久選手権にもダブルエントリーで参戦を続ける8号車TOYOTA GAZOO Racingのフェルナンド・アロンソ。WECで初めて迎える富士ではサーキットで一番の注目を浴び、文字どおりアロンソの周りは人だかりの山。そのアロンソが予選日を振り返りつつ、もっとも気になる話題と言っても過言ではない、日本のホテル事情についても訊ねた。
「マシンのフィーリングはいいし、予選のラップタイムにも満足している。明日への準備は整っているよ。明日は1番重要な1日になる。これまでのフリープラクティスでセットアップを煮詰めて、タイヤの摩耗度合い、燃料を積んでいる状態でのマシンチェックなどをこなしてきた。どの状況でもマシンの感触は問題なかった」と、まずは予選日までの感想を語ったアロンソ。
予選での8号車はアロンソが先に乗ってアタック。その後をセバスチャン・ブエミが担当して中嶋一貴はお休みとなったが、ブエミがアタックで四輪脱輪してしまい、2番手タイムに終わってしまった(その後、7号車がタイム抹消になり8号車はポールポジションスタートに)。それでもアロンソは翌日の決勝についてポジティブな様子で、話す雰囲気からも、富士での走行を楽しんでいる様子がうかがえた。
「今日の夜から雨が降る天気予報が出ているから、明日はウエットコンディションでスタートして、その後ドライに変化していくかもしれない。とにかく集中して一切のミスなく走りきり、トヨタのホームレースである富士でワン・ツーフィニッシュを飾りたいね」
「今、僕たちはレベリオンと僅差でチャンピオンシップをリードしている。この富士と上海で可能な限りベストなリザルトを獲得することが何よりも重要だ。そのためには明日は一切のミスなく走りきり、一番最初にチェッカーを受けなくては」
「明日雨が降った場合に備えて、今日は去年のWEC富士に関するビデオをチェックするかもしれない。そうすればウエットでのライン取りやトラフィックについて勉強できるからね」と、とにかくポジティブシンキングのアロンソ。
そのアロンソ、武士道や秋葉原が好きで親日家でも知られるが、先週のF1日本グランプリからの連戦をどのようにすごしてきたのだろう。
「それにシンガポールGP、トヨタのシミュレーター、(スペイン・アストゥリアス州にあるサーキットで)6時間耐久のゴーカート、ロシアGP、日本GP、WEC富士と続いていて、このあとさらにアメリカGP、メキシコGPと8週間のレースが続いていて、今は6週目。だから、文字どおりの旅の半ばなんだ(笑)。日本GPからの連戦でも問題ないさ」
「日本に来て2週間経つから身体が慣れてきて、時差ボケはもうなくなった。カズキやカムイがいろいろなレストランに連れて行ってくれるし、いろいろな日本食を楽しんでいるよ」
■ツインルームでも狭かったというアロンソのビジネスホテル体験。それでも好感触な様子
そのアロンソの言葉にあるように、中嶋一貴、小林可夢偉をはじめTOYOTA GAZOO Racingの6人のドライバーは富士に来る前、都内のとある有名高級焼き肉店で共に食事をして交友を深めたそうだ。ちなみにアロンソは日本食が好きなものの、生ものが苦手で寿司はほとんど食べず、焼き肉もしっかりと焼いてから食べていたそうだ。
そして、オートスポーツWEBとしても今回、もっとも気になっていたのが、アロンソの日本のビジネスホテルでの生活。今までは広々とした、名だたる超高級ホテルでの生活が続いていたアロンソ。そんなアロンソのことを気遣って、一貴、可夢偉が国内での定宿のビジネスホテルにアロンソを泊めることについて、マネージャーに何度もお伺いを立てるほど、チーム内では心配されていた問題だった。だが、実際は……。
「新鮮! 新鮮だよ! 部屋のサイズはものすごく狭い。僕は今、5週間分のラゲッジを持ってきているんだ。だから、僕にとっては荷物を置くことがとても重要なんだよ(苦笑)」と、日本のビジネスホテルの印象を語ったアロンソ。実際には期待された(?)シングルルームではなく、ツインルームだったいうが、それでもアロンソにとってはやはり衝撃的な狭さだったようだ。
「それでも、日本のホテルはとてもクリーンでサービスもいいし、ホテルの人たちも親切だ。部屋の大きさ自体はそこまで気にしていないよ。チームのドライバーと一緒に夕食や朝食をともにできるのも素晴らしい。どんな場所でもチームとしての結束力を感じられることが一番ハッピーだよ」
今週末のレースウイーク、TOYOTA GAZOO Racingのドライバーたちは揃って御殿場市内で一緒に夕食をとっているとのことで、6人の仲の良さとチームワークの良さを象徴するエピソードでもある。
ちなみに、やはりというか、6人を取りまとめて案内するのはホスト国でもある一貴と可夢偉の役目なのだそうだ。