10月12日に富士スピードウェイで開幕した2018-19年のWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”第4戦。午前中のフリープラクティス1回目終了後に行われた記者会見に8号車トヨタTS050ハイブリッドをドライブするフェルナンド・アロンソ、11号車BRエンジニアリング・BR1をドライブするジェンソン・バトンが登壇した。
中嶋一貴、セバスチャン・ブエミとともに8号車トヨタをドライブするアロンソは、フリープラクティス1回目で22周を走行。9周目にはチームのセカンドベストタイムとなる1分26秒335を記録している。
そのアロンソは「FP1(フリープラクティス1回目)は、まずまずの結果だった」と走行をふり返った。
「セッション開始直後はダンプコンディションだったけど、そのあとすぐにドライタイヤで走れるコンディションになった」
「マシンの感触も良くて、FP1ではセットアップやハイブリッドシステムを少し調整したくらいだ。今のところ、驚くべきことはなにも起きていない」
トヨタが戦うLMP1クラスでは、ハイブリッドを搭載するトヨタとノンハイブリッドのプライベーターの性能差を調整するために“EoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)”が施されている。
このEoTについては、これまでTS050のパフォーマンスを固定したまま、ノンハイブリッド勢のパフォーマンスを調整する形がとられていたが、この第4戦で初めてトヨタ側に調整が加えられ、追加のウエイトとして26kgが加算され、他のLMP1マシンとは71kg~86kg重い状態となっている。
また、1スティントあたりに使用できる燃料/エネルギー量や燃料タンク容量、給油装置の流量リストリクターに関しても、ノンハイブリッド勢が有利になるような変更が加えられている。
「EoT変更の影響は決勝までわからないだろう。これまで僕たちが得ていたアドバンテージがなくなったのは間違いないだろうけどね」とアロンソ。
「FP1では(ブレーキングやコーナリングで)マシンがこれまで以上に振られるように感じたから、追加ウエイトの影響を強く感じたよ」
「コースのあらゆる箇所で(前戦より)遅くなったと感じるけど、それでもコース上では依然として最速だし、チームもシーズンを通して最速であるように努力してくれている」
「僕が富士スピードウェイを最後に走ったのは2007年のF1だ。その翌年は(優勝して)僕たちにとっていい週末だったから、今週末もそうなるといいね。天候にも恵まれてほしいと思っている。そうなれば決勝ではファンにアクション満載のレースをお届けできる」
■2018年3度目の富士戦に挑むバトン。「予選をうまくまとめればトヨタに手が届くかも」
アロンソと同じLMP1にノンハイブリッド勢のSMPレーシングから参戦し、11号車BRエンジニアリングBR1・AERをドライブしているバトンは、フリープラクティス1回目で17周を重ね、チームトップタイムとなる1分26秒890を記録している。
このタイムはフリープラクティス1回目でトップにつけた8号車トヨタとは1.043秒差、2番手の7号車トヨタとは0.509秒差だ。
前戦の第3戦シルバーストンでは予選3番手を獲得しながらも、決勝では結果を残せなかったバトンは「富士には、いい結果を残したいと思って臨んでいる」と期待をのぞかせた。
「いつものようにマシンには多くの改善が施されていて、今のところ感触も悪くない。それでも、この富士はLMP1にとっては難しいコースだ。とくに第3セクターはトリッキーだしね」
「FP1でマシンの感触は悪くなかった。セッションが赤旗で中断されたのは残念だったけどね。直近のライバルであるレベリオン勢とも大きな差はないと思う。予選ではベストな形で1周をまとめ上げれば、トヨタの1台に手が届くかもしれないけど、決勝ではまったく違う展開になるだろう」
「特に第3セクターでは、僕たちは(バックマーカーを)交わすのに苦労するだろうけど、トヨタ勢はハイブリッドの恩恵を得られるからね。だから、より(トヨタ勢に)接近できる予選でのバトルを楽しみにしているんだ」