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WEC富士用に設置されたコースサイドバンプ破損で、出鼻を挫く長い赤旗中断。バンプ設置の背景と破損原因

2018年10月12日 18:01  AUTOSPORT web

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WEC富士金曜日の走行では午前、午後ともにセッション途中で30分以上の長い赤旗中断となってしまった
10月12日の金曜日から走行が始まったWEC、世界耐久選手権第4戦富士6時間耐久レース。フェルナンド・アロンソやジェンソン・バトンの参戦で盛り上がりを見せるWEC富士だったが、初日の金曜日はコースサイドバンプが破損するというトラブルが発生してしまい、なんとも、もやもやしたスタートとなってしまった。

 金曜に行われる2回のフリー走行で午前、そして午後と両方のセッションで長い時間、赤旗中断となってしまった。赤旗の原因は縁石外に設けられたイエローのコースサイドバンプのアクシデント。

 設置されたバンプは一部では高さが10cm程度と高めの箇所もあり、そのバンプを通過した車両のフロアを損傷する可能性とともに、設置されたバンプ自体が浮いて動く、そして破損してしまうという問題が発生してしまったのだ。その修復のために午前のセッションで45分間の中止を余儀なくされ、午後のセッションも2度赤旗が提示され、合わせて48分程度中断する事態となってしまった。

 今回、コースサイドバンプが設置された場所は、ヘアピンのイン側、ダンロップコーナー出口のイン側、そして13コーナーのアウト側、最終コーナーのイン側、アウト側など多数あったが、そのなかでも一番問題となったのは13コーナーのサイドバンプ。13コーナーのアウト側はブラインドになっており、マシンも旋回速度を高めのままコーナリングをするため縁石外側に膨らみやすい。午後のセッションでは3つある最初のひとつ目のコースサイドバンプが乗り上げたマシンの衝撃によって激しく破損し、約半分が飛び散ってしまったことで事態が大きくなってしまった。

 富士スピードウェイによると、そもそもこのコースサイドバンプの設置理由はFIAからの指示だったという。もともと富士スピードウェイは安全性を高めるためにランオフエリアを広くとっているが、FIA側の見解としては、この広いランオフエリアを利用する形で、コースをはみ出たマシンがそのまま減速せずにコースに復帰してしまうケースが見られため、安全性を保つ点と四輪脱輪を防ぐためにコースサイドバンプの設置を求めてきたという。

 富士スピードウェイとしても、昨年までは人工芝を設置するなどして独自に対応してきたが、今年の開催からFIAからの推奨を受けて縁石の外側に柔らかめのアスファルトを敷き、その上にイエローのコースサイドバンプを設置。しかし、その設置過程において、FIAからは設置するバンプのサイズ、素材、高さや設置方法などについて推奨のみで指示はなかったという。

 午後2度目の赤旗中断では、問題となったコーナーサイドバンプを電動ノコギリを使用するなど火花を散らながら緊急撤去。モニターで確認できた範囲では、13コーナーに設置されていた3つのコースサイドバンプはすべて撤去され、その後、セッションが再開されることになった。

 結局、午後のセッション2回目の赤旗は中断時間は約40分間となり、残り29分でセッションが再開。奇しくもLMPマシンのパワーと衝撃を、コーナーサイドバンプの破損という形で証明することとなってしまったが、13コーナー以外のコースサイドバンプの明日以降については今の段階ではまだわからないままだ。