トップへ

【津川哲夫の私的F1メカ鈴鹿特別編2】ピットストップ作業をスムーズに行う重要なデバイス、F1最新ガンツリーの実態

2018年10月12日 13:31  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2018年F1日本グランプリ鈴鹿サーキットでのルノーのエアボックス
ピットストップで行われるタイヤ交換は、強力なエアパワーによるインパクトレンチ(ホイールガン)を使ってセンターロックナットを緩めホイールを外し、新しいホイールを装着してナットをホイールガンで締めて完結する。

 この作業を担うホイールガンは強力なエアラインに繋がれていて、ピットインしてきたマシンの上方の枝(ブーム)から4つのコーナーにエアを供給している。

 ピット側には大きなエアボンベを内包したボックスが設置され、その中に各コーナーへ強力なエアプレッシャーを送るためのレギュレーターが搭載されているわけだが、4つのコーナーは各コーナーごとに2本のラインを持ち、ガンも2つずつ用意されている。つまり、合計8個のエアガンが準備されるのだ。

 これはメインのガンがなんらかのトラブルがあった場合、即座にスペアガンに交換してタイヤ交換作業のリスクに備えるためだ。写真はルノーF1のエアボンベのボックス。各コーナー用に4つのレギュレーターと左右4つのスペアガンに連結されて、2つのレギュレーターが用意されているのがわかる。

 この大きく重いボックスから2本の大きな枝(ブーム)が外側に伸び、その内部を通って、エアラインが外側のガンへと繋がっているのだ。

 この装置はガンツリーと呼ばれ、チームごとに趣向が凝らされ、センサーやCCD(電荷結合素子 )カメラ、発進・停止シグナル、レーザー照射のポジションガイダンス、そして前後のジャッキからの信号の受信機……等々、ピットストップ・マヌーバー(戦略)の管制塔になっている。