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WEC:「『遂にこの日が来た』という想い」。澤圭太、2018年上海戦を最後にシリーズ参戦中止

2018年10月12日 12:51  AUTOSPORT web

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クリアウォーター・レーシングの澤圭太(左)、マット・グリフィン(中央)、ウェン-サン・モク(右)
WEC世界耐久選手権のLM-GTEアマクラスに参戦しているクリアウォーター・レーシングは10月11日、オーナードライバーのウェン-サン・モクが次戦の上海ラウンド限りで引退することを発表。これに伴い同チームからフル参戦している澤圭太も2018/19年シーズン第5戦上海を最後に、2017年からのWECフル参戦を中止することとなった。

 GTアジアやAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズでの活動を歴て、2016年にル・マン24時間へ参戦すると、翌2017年からはWECへのフル参戦を開始したクリアウォーター・レーシング。

 フェラーリ準ワークスチームのAFコルセの協力の下、フェラーリ488 GTEを走らせてきたチームは、ル・マン参戦初年度からオーナーのモク、そのコーチ役として長年ともに歩んできた澤、そしてエースのマット・グリフィンという布陣で世界選手権に挑戦してきた。しかし、そのチャレンジはオーナードライバーの引退という形で、2018/19年“スーパーシーズン”の途中で一度ピリオドが打たれることとなった。

 その結果、モク氏のコーチ役を務めていた澤の起用についても同じタイミングで白紙に。2シーズンに渡ってGTEアマクラスを戦ってきた澤のWEC参戦も中断されることが決まった。

 なお、チームとしての参戦は継続される見込みで、2019年3月行われるセブリング1000マイル、スパ・フランコルシャン6時間、最終戦ル・マン24時間では新たな体制のもとシリーズを戦っていくという。

 2007年にモク氏と知り合い、以後長年に渡ってドライビングコーチを務めていた澤は、突然の参戦中止について次のようなコメントを発している。

「『遂にこの日が来た』という想いです。WEC“スーパーシーズン”は2019年6月のル・マン24時間までですから、このタイミングでの参戦中止はきっと、みなさまも驚かれたことと思います」

「ウェン(-サン・モク)と知り合ってから今年で12年目となりますが、『一緒にル・マンに行こう』という夢を語り合って2016年にその夢が叶い、2017年はさらにWECフル参戦となりクラス優勝も経験。同年のシリーズ2位を獲得しましたし、2018年もまだ優勝はありませんが、WECへの参戦を継続して現在シリーズ2位をキープしておりました」

「また、ル・マンは3年連続で出場し、3年連続クラスシングル完走を果たすことができました。表彰台は近いようで遠かったですが、本当に素晴らしい景色と経験を刻むことができました」

「WECを戦うなかで、自分のような雑草ドライバーでも(雑草ドライバーだからこそ)、このフィールドでも自分のレーサーとしての技術が通用すると感じることができ、チームからも信頼を受けてレース活動ができたことがなによりも自分にとって宝となりました」

■澤圭太「“精一杯の背伸び”をし続けた2年間だった」

「一緒にル・マンに行って、ウェンの引退を自分も一緒に戦って見届けるのが僕の役目だと思っていた」と澤。

「この2年間、実は自分が置かれている環境のなかでは“精いっぱいの背伸び、つま先つんつん立ち状態”、そんな状況で世界選手権を戦ってきました。しかし、つま先立ちだったからこそ見えたいろいろな世界がありました。日本でレースを続けていたらアジアはなかったし、アジアがあったから世界で戦える今があります」

「彼から『今季限りで……』と相談をされたのはつい最近、8月のシルバーストン戦前でした」

 その告白を受けてからは、自身の今後について考える日々だったという澤。

「それから自分のこれからを考える毎日でした。しかし、彼が引退するということは当初から“自身のコーチとしての役目を終了する時”だと自然と思うようになりました」

「WECスーパーシーズンはまだ続きます。クリアウォーターというチーム名での参戦もきっと続きます。しかし、きっとそこに私は居ません。

「2019年のセブリング、スパ、そして4回目の挑戦となるはずだったル・マンにチームやウェン、そしてマット(・グリフィン)と一緒に行けないことは非常に残念です」

■「ル・マンを第一候補に、国内復帰も視野に入れる」

 突然の決定に澤は2019年以降の活動は未定だというが、4度目のル・マン挑戦が可能であれば、そのチャンスを活かしたいという。

「まだ来年以降どうするのかはは未定です」

「クリアウォーター・レーシングとしての参戦権利は継続されるのでチームは今、今後の活動をAFコルセと模索中です」

「もしかしたらウェン以外のチームのパッケージはそのままで継続になるかもしれない。その時は僕もまだ継続参戦のチャンスがあると思っていますし、最低でもル・マンだけでも出場できないかと、他の可能性も含めて調整をするつもりです」

「そしてその線を第一候補として進めながら、それ以外にもアジアのモータースポーツシーンに戻ってGT3レースを中心に活動を再開するか、日本のスーパーGTやS耐久も最近魅力的だと感じているので候補に入れています」

「いずれにせよ、今週末の“母国”富士戦、そして来月のWEC上海戦をしっかり戦うことが先決です。ウェンは『最後は全力アタック! そして笑顔で気持ち良く終えよう』と言ってます。当然、僕もその心づもりです」

 最後にチームやモク氏への謝意を述べた澤。今後の活動については決定次第、発表していきたという。

「改めてクリアウォーター・レーシングやウェンには、こんな素晴らしい機会を長い間頂いたことに感謝しています。また日本から応援して下さるみなさまの支援や温かい応援が、いつも僕の活動の馬力となりトルクとなって今まで邁進してこれました。本当にありがとうございました」

「あと一歩で今まで自分がやってきたやり方で、レーシングドライバーとしてのカタチを後に残すことができると思っています。なので、まだもう少し現役ドライバーは続けたいと考えています」