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奪われた同性パートナーの命、私は「遺族」と認められなかった…犯給金めぐる裁判

2018年10月12日 10:42  弁護士ドットコム

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犯罪による死は、残された家族に精神的な打撃だけでなく、経済的な問題も突きつける。亡くなった人が大黒柱のこともあるし、生活を立て直そうにも家族の世話や精神的なショックなどから働くことがままならない遺族もいる。


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しかし現状では、犯罪被害で家族を失った人たちへの支援は乏しい。民事訴訟を起こして、いくら請求が認められても、加害者に財産や支払う意思がなければ、回収は困難だ。


そんな遺族を救済するため「犯罪被害者等給付金支給法」(犯給法/支給法)という仕組みがある。遺族に対しては、最高で約3000万円、平均630万円ほど(2017年度実績)を支給する制度だ。金額が不十分との指摘もあるが、遺族のための制度自体は存在する。


しかし、名古屋市の内山靖英さん(43)は、殺人事件で家族を失ったのに制度の適用を受けられなかった。亡くなったパートナー(当時52)も男性。2人が同性カップルだったからだ。


内山さんは現在、愛知県に対し、遺族給付を不支給とした決定を取り消すよう求め、名古屋地裁で争っている。10月12日は、第1回口頭弁論の日だ。


犯給法では、遺族給付を受けられる「配偶者」について、法律婚だけでなく、事実婚(内縁)のパートナーも対象としている。同性婚のない日本で、裁判所が同性パートナーをどう位置づけるかが注目される。


●「犯給法の趣旨」は何か?

訴状などによると、内山さんとパートナーの男性は、1994年から同居を開始。2010年には内山さんの母も加わり、3人で暮らしていた。


家計は一緒になっており、パートナーは内山さんの母の介護もこなした。周囲からは「夫婦同然」として認知されていたそうだ。異性カップルであれば、内縁関係と認められる要素が十分ある。


パートナーが殺人事件の被害者になったのは2014年のことだ。加害者には懲役14年の判決が確定。判決でも、内山さんカップルを「夫婦同然の関係にあった」と認定している。


だが、愛知県公安委員会は、同性パートナーであることを理由に不支給の裁定を下した。


「パートナーを失うことによる精神的・経済的打撃は、異性パートナーでも同性パートナーでも変わらない」。これが内山さん側の主張だ。


加えて、同性カップルの場合、相続による財産の継承ができないなど、異性カップル以上の困難がある。この問題は、内山さんだけでなく、ほかの同性カップルにも起きうる。犯給法の趣旨とは何かーー。裁判は問いかけている。


(弁護士ドットコムニュース)