2018年10月11日 19:12 弁護士ドットコム
食品や流通、繊維など幅広い業界の労働組合が加盟する「UAゼンセン」(組合員数約178万人)が大揺れだ。医薬品メーカー労組が集団離脱し、独自に産業別労働組合を発足させる動きを見せているため。「相手方への一方的な取材」で日経新聞1面にその様子が掲載されたことへの不快感も強い。10月11日、UAゼンセンは東京都内で緊急会見を開き、脱退届を承認していないことなど経緯を説明した。
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新たな産別労組は「医薬化粧品産業別労働組合連合会(薬粧連合)」だと伝えられている。10月10日に発足し、アステラスや第一三共、中外製薬、エーザイなどと阪大微生物病研究会の計12労組(約2万人規模)が参加した。最大手の武田薬品工業の労組は参加を見合わせている。
ただ、この日の会見でUAゼンセンの木暮弘書記長は「脱退は承認しておりません。大変残念な行動で遺憾だ」と述べた。脱退届は9月中旬に提出されたが、「大変重い問題で、『はい、そうですか』とすぐに受理するわけにいかない。今後のことは考えていく」という。
会見では、日経新聞の記事に対する不快感も表明された。記事は、10月8日付の日経新聞朝刊1面「製薬11労組が新組織 UAゼンセン脱退 統一交渉難しく」のことだ。
UAゼンセンは、記事掲載された武田薬品労働組合を含むUAゼンセン側への取材が一切なかったと強調。製造産業部門長の南沢宏樹氏は「一方的な取材に基づき、あたかも当該労組の行動が正当であるがごとく報道されている。相手の発信でこういう記事になったことに戸惑っている」と語った。
朝日新聞(10月11日付)は、薬粧連合の浅野剛志会長(第一三共グループ労働組合連合会参与)が次のように語ったと伝えている。「厳しく変化する業界の内容に応じた政策提言や春闘での交渉を進めるためには、UAゼンセン内部でも出来ないことはないが、業界として一体感を持つことが重要と判断した」。
(弁護士ドットコムニュース)