女性ドライバーだけが参加するシングルシーター・チャンピオンシップ『Wシリーズ』が2019年にスタートするというニュースに、モータースポーツ関係者から賛否両論のリアクションが集まっている。
Wシリーズは全6戦のシリーズで、才能ある女性ドライバーを育成することを目的として来年発足する。主催者はここからF1ドライバーが生まれることを願っている。
多くの若い女性レーサーはこの新たな取り組みを称賛している。イギリス出身で今年イギリスF3で勝った初の女性ドライバーとなったジェイミー・チャドウィックは、Wシリーズはモータースポーツで上を目指す若い女性たちのチャンスを広げることになると考えている。
「Wシリーズは、女性ドライバーがレースに出場できる新たなプラットフォームを与えてくれるでしょう」とチャドウィックは語った。
「私はレーシングドライバーであり、できることなら365日レースをしていたい。これからも他のチャンピオンシップでは男性と対戦するでしょう。ですがWシリーズは、ジュニアシリーズをステップアップしていくために必要な成長と進歩を完璧に補ってくれるでしょう。これから起こることが楽しみです」
オランダ出身で、GTレーサーとして活躍したピーター・コックスの娘であるステファンは、Wシリーズは若い女性ドライバーのキャリアに役立つステップになると見ている。
「Wシリーズは世界のモータースポーツシーンに新たに加わるポジティブなシリーズとなるでしょう。そして、これは世界中の野心ある女性ドライバーにとって、大きな助けとなることは明らかです」
「自分自身のことに関して言うと、最高レベルのレーシングドライバーになりたいと思っていますし、男女を問わず、すべてのベストドライバーとレースをしたいと思っています」
「そうするためには、私たちがまずWシリーズで経験を積むことが重要になります」
■女性ドライバーのなかには、「隔離」されたくないという意見を持つ者も
しかしながら、アメリカで長年インディカーに出場しているピッパ・マンは、女性だけでレースをするという方向性は間違っているとして、新シリーズに失望していることを認めた。
「モータースポーツにとって悲しむべき日です」とマンはツイッターに投稿した。
「女性レーサーを支援しようと出資を行う人々は、女性を助けるのではなく、女性を隔離することを決めたのです。歴史的な後退が私の人生の中で起きてしまったことは、非常に残念です」
ドイツ出身のヨーロピアンF3レーサーであるソフィア・フロッシュも、ピッパ・マンの意見にツイッターを通して賛同した。
「議論を行うことには賛成です。でも、この解決方法には反対です。女性は長期間のサポートと信頼できるパートナーを必要としています。私はモータースポーツにおける最高のドライバーたちと競いたいのです」
「経済界の問題として考えてみてください。女性管理職や女性諮問委員会を別に設ける必要があるでしょうか? そんなわけはありません。それは間違っています」
ソーシャルメディアなどでの議論の盛り上がりは当分続くだろう。Wシリーズは来春のスタートに向けて、今後積極的にプロモーション活動を行っていくものとみられる。