前週に続いてWTCR世界ツーリングカー・カップとの併催イベントとなったCTCCチャイナ・ツーリングカー・チャンピオンシップ。この武漢ストリート・サーキットでの1戦に、今季BTCCイギリス・ツーリングカー選手権のチャンピオンを獲得したコリン・ターキントンがスポット参戦し、いきなりのポールポジションを獲得したほか、前戦でデビューした長安フォードFRDチームの第4世代『フォード・フォーカスCTCC』も連続表彰台に上がっている。
今季もレギュラードライバーとしてWTCRとの二足のわらじを履くロブ・ハフを起用するSAIC VW333レーシングは、WTCRの規定によりダブルヘッダーでの参戦が不可能となったエースに代わり、前戦の寧波ではアンドレ・クートを助っ人起用。続く2連戦となるこの武漢市街地コースには今季のBTCCチャンピオンを招聘した。
これがCTCCのデビュー戦となったターキントンは、追加されたプラクティスセッション0で初めて『フォルクスワーゲン・ラマンドGTS』をドライブ。そのまま30分の予選セッションに挑むと、2番手タイムを記録したチームメイトのロドルフォ・アヴィラをコンマ5秒突き放し、1分22秒118のタイムをマークして見事にBTCC王者の貫禄を見せつけるデビュー戦ポールポジションを決めた。
セカンドロウ3番手には、4台が投入された新型『フォード・フォーカスCTCC』の1台をドライブするレイニー・ヘイがつけ、4番手にVWのチェン・チャン・ダン。そして5番手にはひさびさのCTCC参戦となったBTCCドライバーのアダム・モーガン(BAICセノヴァD50)が並ぶ予選結果となった。
そのグリッド順で土曜に開催された12周のレース1は、4番手スタートのVWのチェン・チャン・ダンが前方3台を仕留め、2台の新型フォーカスを従えトップチェッカー。
2番手レイニー・へイ、3番手マーティン・カオの背後につけたターキントンは、最終ラップの最終コーナーでカオのフォーカスに仕掛け、いったんは3番手浮上に成功。しかし立ち上がり加速の勝負でわずかに0.09秒先行を許し、惜しくもデビュー戦表彰台を逃す結果となった。
「個人的には本当にレースを楽しんだよ。スタートではいくつかポジションを失ったけど、このマシンで初めてのスタンディングスタートだったから、ある程度仕方がないと割り切っていたんだ」と振り返ったBTCCチャンピオン。
「ポールからレースするのに、そのマシンの最適なスタート方法を知らないのはいつだって難しい。とくに近年のBTCCでは後輪駆動(BMW125i Mスポーツ)をドライブしているし、ひさしぶりのFFマシンだったからね」
「ともあれ、赤旗中断を経てからはマシンの理解が進み、ペースも良かった。それでいくつかポジションを挽回できたんだ。最後は一瞬だけ表彰台圏内に上がれたけどフォードにサンドイッチされてしまったね(笑)」
「チームにポイントをもたらすという仕事は果たせたし、マシンの感触も把握した。明日のレースがどうなるか楽しみだね」
そう語ったターキントンは、翌日のレース2で見事に3位表彰台を獲得。優勝を飾ったのはBTCCでマック・ツールズのメルセデス・ベンツAクラスをドライブし、2018年も勝利を挙げているモーガンとなり、2位には前戦から国際ワイルドカード枠で長安フォードFRDに加入したオーストラリア人のジョシュ・バードンとなった。
これがCTCCでの自身初表彰台となったバードンは「僕は5番グリッドから良いスタートを決め、2周目には2番手に上がることができた。その後は、この手のクルマで長いスティントを経験したことがなかったから、とにかく前輪を労わることに集中したよ」と、新型マシンとのレースを振り返った。
「終盤にはモーガンとのギャップを詰めることができて、後ろのターキントンとも距離があったからイチかバチかでレイトブレーキングをしたけどロックアップしてしまった。危ないところだったね(笑)」
「でも、こうしたFFツーリングカーの経験がほとんどないことに加えて、BTCCドライバーたちを相手にデビュー3戦目のマシンで表彰台に上がれて光栄だよ」
一方、3位に入ったターキントンを含めたSAIC VW333レーシングの『フォルクスワーゲン・ラマンドGTS』勢は、レース後の車検でホモロゲーション承認の刻印がないブレーキパッドを装着していたことが判明。4台全車にレース結果除外の裁定が下る波乱が起きた。
チームはCTCCの共通指定部品供給を行うアルコンと共同で声明を出し「品番も含めて指定部品である」として控訴を行っている。