メルセデスF1のルイス・ハミルトンは、自身5度目となる世界タイトル獲得への道筋を鮮明にしながら、メルセデスはすでにフェラーリを心理戦で打ち破ったと考えている。
日本GP決勝ではハミルトンが今シーズン9勝目をあげた一方で、フェラーリのセバスチャン・ベッテルは結果を出すことができなかった。これにより、ハミルトンがドライバーズ選手権でライバルのベッテルを67ポイント上回り、残る4レースのうちに王座に就くことがほぼ確実となった。
今シーズンのフェラーリは、ベッテルが開幕から2連勝を飾っている。SF71-Hはフィールド上で正真正銘のトップマシンであり、チームは夏季休暇を過ぎるまでは優勝候補の一角に挙げられていた。ところがその後、不可解な成績低迷に陥ることになる。
「僕たちは(チーム)一丸となって、相手にプレッシャーを与えるという成果をあげたのだと思っている。トップクラスの競争相手同士が直接対決するときには、そうしたことが起きるものなんだ」とハミルトンは説明する。
「彼らは今も素晴らしいパフォーマンスを続けているけれど、どちらか一方が常に同じパフォーマンスを発揮できずにいる。僕たちは心理戦を戦っている。これはすべてのメンバーが集団で行なうものだと思う」
「みんなが100%の力で、しかも繰り返し戦ってきた。チームが力を出したときに僕も力を合わせられたことを、うれしく思っているよ」
フェラーリのホームグランプリとなったイタリアGPで、キミ・ライコネンとベッテルは予選を通じて上位を独占したが、決勝の1周目でベッテルが手痛いミスを犯した。ハミルトンは、これがその後の低迷への転換点だったと見ている。
「モンツァのようなレースはいいね。僕としては、とても気に入っている」とハミルトン。
「あれ以降もすべてのレースでああいう戦いができていたらとても幸せだっただろうね。正直に言って、実際にそういう展開になると思っていたんだ」
「フェラーリ勢は、直前の2レースではとても強かったから、その後も良い戦いが続けられると思っていた」
「だけど、彼らのパフォーマンスは突然ひどく落ち込んだ。それ以降は、明らかに彼らにとって困難なレースが続いている。当然、僕としては最後まで真剣勝負を続けたいと思っている」
実際にハミルトンとしては、チャンピオンが決まるまでの全レースでし烈なバトルを展開し、最後まで予断を許さない接戦が続くことが望みだったのだろう。
「すべてのレースで、モンツァやモンツァに似た展開の、他のレースのように戦いたいんだ」とハミルトン。
「そうした戦いが僕の大好きな戦い方だし、そういうレースなら何戦でも望むところだ。だけど残念なことに、今はそういう状況ではなくなってしまった」
「僕たちがやっているこの素晴らしい仕事からそういう部分がなくなって、つまらなくなってほしくないと思っている」